開幕戦という特別なゲーム。苦手とする敵地。しかも前半のうちに2選手がケガによる途中交代を強いられる難しい展開を考えれば、チーム全体で集中力を切らすことなく無失点に抑え、スコアレスドローで勝点1を手に入れた結果は決して悪くない。
フアン エスナイデル監督はこう振り返った。
「難しいタフな試合でした。ただ、大切なのは負けないことです。チームとしていい仕事をしましたし、次の試合につながると信じています」
スタメンは4-2-3-1の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは右からゲリア、増嶋竜也、エベルト、下平匠の4人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと矢田旭が並び、2列目は右に堀米勇輝、トップ下に船山貴之、左サイドに茶島雄介が位置。1トップにアラン ピニェイロが入った。
立ち上がりはジェフが圧倒的な攻勢に出た。
キックオフ直後の1分、縦パスを受けて相手最終ラインの背後に飛び出した船山が果敢に仕掛けてヒールパス。アラン ピニェイロの突破は阻止されたが、シンプルな攻撃で敵陣深くまでボールを運ぶ。さらに、直後の2分には右サイドから仕掛けた堀米がクロス。4分には左サイドバックの下平が縦にフィードし、アラン ピニェイロが巧みなキープからクロス。ゴール前で船山が競ってこぼれたボールを堀米がシュートを放った。
愛媛の反撃は9分。背番号10の神谷優太が左サイドからドリブルでカットインし、強烈なミドルシュートを放つ。これはゴール左に外れたが、このシーンをきっかけに徐々に愛媛もチャンスを作り始めた。15分にはMF長沼洋一がジェフの左サイドを突破してクロス。ゲリアのクリアでピンチを回避したが、危ないシーンだった。
迎えた17分、ジェフに最初のアクシデントが訪れる。足を痛めて倒れた矢田旭がピッチを後にし、小島秀仁と交代。さらに39分、今度は茶島が左足大腿部を痛めて為田大貴と交代。やや押し込まれる時間が続いた前半をスコアレスのまま終えることができたものの、2人の負傷交代を余儀なくされる苦しい展開となった。
後半は防戦一方の展開だった。熊谷アンドリューが「相手のボールの回し方がすごくうまかったので、後手に回ってしまった」と振り返ったように、中盤での主導権争いは相手が上。時間の経過とともに疲労感が見え始めたジェフは、次第に攻撃への推進力を失い、守備に追われる時間が続いた。それでも、中盤は熊谷と小島、最終ラインは増嶋やエベルトを中心にチーム全体として高い集中力を維持。確かに攻撃面でチャンスを作ることはできなかったが、身体を張って苦しい時間帯を乗り越えた。
75分にはアラン ピニェイロに代えてクレーベを投入するが、流れが大きく変わることはなかった。それでも相手の攻撃を最後まで防ぎ切り、スコアレスのままタイムアップ。難しい展開となった敵地での開幕戦で貴重な勝点1を獲得した。
途中出場の為田が言う。
「昨シーズンと違って、アウェイでのこういう試合で勝点を取れたことはすごく大きい。無失点を評価していいと思うし、チームとしてポジティブに捉えて試合を進められたと思います。内容は決して良くなかったけれど、結果には成長が感じられると思います」
まずは1ポイント。内容は決して良くなかった。しかし最低限の結果をきっちりと掴み取った。昨シーズンとは違うチームに手応えを感じながら、1週間後のホーム開幕戦に臨む。