特別な危機感と覚悟を持って戦わなければならない一戦であることは間違いないが、何より、胸を借りるつもりで思い切りぶつかり、今のチームが持てる力をすべて出し切ることが大切だ。それができれば、必ず勝点を持ち帰ることができる。そう強く信じてチームは敵地・水戸へと向かう。
ここまで1分2敗、最近2試合で9失点を喫しているジェフとは対象的に、水戸ホーリーホックは最高のスタートを切った。
開幕戦はファジアーノ岡山に敵地で1-0と競り勝ち、栃木SCとの第2節はホームで3-0と完勝。前節はJ1昇格候補の筆頭格と評されるV・ファーレン長崎とのアウェイ戦に臨み、1-0と競り勝って見事3連勝を成し遂げた。攻撃陣は3試合で5得点と好調だが、やはり特筆すべきは3試合連続無失点の守備力である。かつてジェフの指揮官を務めた長谷部茂利監督は、水戸を率いて2年目にして組織的かつ強固な守備網を作り上げた。
中でも前節の長崎戦はその好調ぶりが際立った。水戸は序盤から主導権を握るも、長崎の守備を攻略できずに膠着状態が続く。しかし後半立ち上がりの52分、電光石火のカウンター攻撃から最後は清水慎太郎が決めて値千金の先制点を奪った。その後はパワフルな攻撃を仕掛ける長崎に対し、粘り強い守備で応戦。3連勝の勢いも手伝って、水戸には指揮官がテーマに掲げる「一体感」が確かにある。
水戸について、為田大貴が言う。
「水戸は3連勝で失点ゼロ。勝ち癖は付いていると思っています。自分たちは最下位なので上を目指すだけです。相手が無失点だからこそ崩したい」
第3節終了時点で最下位に沈んだジェフが置かれた状況は、確かに厳しい。
初勝利を期して臨んだ前節、レノファ山口FC戦は現状を物語る結果となってしまった。キックオフ直後はチーム全体がハードワークしたものの、気持ちを全面に押し出したプレーが裏目に出たのか、相手の足に飛び込んだ堀米勇輝のタックルは一発退場の判定となった。苦しい時間帯を乗り越えて一度は立て直したものの、体力や集中力は時間の経過とともに減退し、後半に入ると大量失点。2-5の完敗に直面し、選手たちは顔を上げるのが精いっぱいだった。
もっとも、内容には手応えがあった。ひとり少ない状況でも十分に戦えた。キャプテンの佐藤勇人が「3試合で一番良かった」と振り返った言葉に嘘はない。だからこそ、この水戸戦では“空回り”が懸念される。指揮官フアン エスナイデルが言う。
「(水戸は)自信をもってやってくるでしょうし、そういう意味で(ジェフは)相手がもっている自信以上のものをもって戦わなければいけないと思います。だから“勝たなければいけない”と私たちが思いすぎて、緊張しすぎて、プレーができないということにはならないようにしてほしい」
ジェフの課題は守備にある。山口戦は右サイドバックとしてフル出場した田坂祐介の分析がわかりやすい。
「山口戦では人数が少ない状況でポゼッションは6割を超えていましたが、反面、カウンターを受けやすい(ボールの)失い方も多かった印象です。突き詰めれば、自分たちのミスが招いた失点。もう一度、詰めなければいけません。攻撃にパワーを使ったぶん、前に重心がかかりカウンターを受けることは致し方ないのですが、もっと守備をオーガナイズして失点を減らすことが大事」
勝ちたい気持ちは誰もが同じ。その思いをピッチに、ボールに、相手にぶつけ、今度こそ今シーズン初となる勝点3を獲得したい。
フアン エスナイデル監督
(水戸は)対戦相手がウチだからといって、特別なことをしてくるとは思っていません。水戸は良いスタートを切れているので、同じようなことを続けてやってくるのではないかと思っています。(水戸は)自信をもってやってくるでしょうし、そういう意味で(ジェフは)相手がもっている自信以上のものをもって戦わなければいけないと思います。だから“勝たなければいけない”と私たちが思いすぎて、緊張しすぎて、プレーができないということにはならないようにしてほしいと思います。ただ相手は強いですし、堅くてうまいチームです。彼らはきっと、やるべきことをうまく分かっているのだと思います。今やっていることで、うまくいっている。そういう意味で、同じことを続けてくると思っています。
田坂 祐介
2試合で9失点をしているので、(水戸戦に向けて)守備の修正が大事になります。山口戦では人数が少ない状況でポゼッションは6割を超えていましたが、反面、カウンターを受けやすい(ボールの)失い方も多かった印象です。突き詰めれば、自分たちのミスが招いた失点。もう一度、詰めなければいけません。攻撃にパワーを使ったぶん、前に重心がかかりカウンターを受けることは致し方ないのですが、もっと守備をオーガナイズして失点を減らすことが大事になります。ただ攻撃と守備は切って切り離せないと思うので、攻撃の精度を上げること、ボールの失い方なども含めて、一人ひとりが突き詰めなければいけません。水戸戦もそんな簡単な試合にはならないと感じます。最高の準備をして、次に向かいたいです。
下平 匠
前回の試合(山口戦)では、序盤で味方の選手が一人少なくなった中、自分たちのサッカーを表現する時間もありましたが、結果的に大差で負けてしまいファン・サポーターの皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです。
(水戸に対しては)シンプルに裏だったり自分たちの背後だったりを突いてくる印象があります。相手は3連勝をしています。連勝をしているということは自分たちのやることがハッキリしている証拠です。自分たちは相手以上に攻撃面、守備面でも整理をして臨むことが大切だと考えます。(水戸・清水慎太郎選手とは)大宮時代に一緒でしたが、彼はもともと身体能力が高い選手。対戦するのは楽しみです。ただ彼だけではなく他の選手にもやられないように頑張りたいと思います。
小島 秀仁
水戸はスタートダッシュに成功して勢いに乗っているし、チームとしても選手一人ひとりとしても自信を持ってプレーをしています。相手に好き勝手やられたら勢いのままやられてしまうと思うので、フリーの状況にさせないようなプレッシャーのかけ方をしないといけないと思います。(前節・山口戦のアシストのような)ゴール前に怖いボールを入れるチャンスは自分にもあるので、そういうチャンスを逃さずに、その機会をもっと増やしていきたいです。まずは原点にかえって「走る、球際に勝つ、セカンドボールを拾う」など、勝つためのことを全員で全力でやらないといけないです。その上で戦術が成り立ってくると思うので、一人ひとりが戦う気持ちを全面に出さないと、この状況は変わらないと思います。
為田 大貴
(水戸戦は)絶対に勝ちます。水戸は3連勝で失点ゼロ。勝ち癖は付いていると思っています。自分たちは最下位なので上を目指すだけです。相手が無失点だからこそ崩したい。ジェフには高さやスピードのある選手がそろっているので、しっかりと対応しながら最後は走り負けないことが大前提になると思っています。ハイプレスにしろ、ブロックを作るにしろ、ハードワークが大事です。
(大分時代のチームメイトである水戸・木村祐志選手との対戦は)とても楽しみです。彼はサッカーのことをよく知っているし、足元がうまい。試合を決定づけるパスやシュートを持っているので、自由にさせると危険です。長谷部茂利監督とも(ジェフのコーチとして)一緒にやらせてもらいました。尊敬はしていますが、負けたくない気持ちがあります。昨シーズンの借りを返し、今シーズンは水戸から2勝したいと思っています。
クレーベ
(山口戦で来日初ゴールを決めたが)自分がゴールを決めたとしてもチームが負けてしまったら、それは自分の目指すところではありません。(チームとして)もっと得点を取る機会を作らないといけないし、もっとポジティブにプレーできるように自信を持たないといけないと思います。
(水戸戦は)アウェイということで、素晴らしいファン・サポーターの数も(フクアリより)少なくなってしまうかもしれず、難しい試合になると思いますが、相手は3連勝で無失点、自分たちは1分2敗。その状況を見てもすごく大事な試合になるというのは分かっています。今までトレーニングでやってきた“ハードワークすることを”そのまま試合に出すことがすごく大事になってくると思います。自分自身も、自分がゴールを決めてチームが勝てればすごく嬉しいですし、チームも喜ぶと思うので頑張りたいです。
アラン ピニェイロ
水戸には良い選手が多く、チームとしてまとまっている印象があります。水戸に勝つためには、しっかりとトレーニングをして準備をしなければいけません。我々は自分たちのサッカーをするだけ、それで勝点3を取ることが重要になります。まだ勝利をつかめていませんが、しっかりと顔を上げて自分たちのやっていることを信じてプレーをすることが大事になります。
周りの選手との連係は、もっと良くなっていくと思うのでしっかりと詰めていきたいです。(心がけたいプレーは)サイドを変えることなどを続けたいですし、困っている選手を助け、サポートをしたいと思っています。個人としても打開するプレーをやっていきたいと思います。
[前節の布陣/水戸]
[前節の布陣/ジェフ]
[最近の戦績/水戸]
02/24 岡山 0-1 水戸
03/03 水戸 3-0 栃木
03/09 長崎 0-1 水戸
[過去の対戦成績]
17/06/17 水戸 3-1 千葉
17/09/16 千葉 2-1 水戸
18/03/04 千葉 0-0 水戸
18/08/18 水戸 1-0 千葉