今シーズン初勝利を目前にして迎えたアディショナルタイム、しかし無情にも相手のシュートが最後の最後でジェフゴールに飛び込み、試合は1-1のドローに終わった。
勝点3を目指して臨んだ水戸ホーリーホックとのアウェイゲーム、ジェフは過去3試合とは違う布陣でキックオフを迎えた。
スタメンは4-1-4-1の布陣。GKは今シーズン初スタメンとなる鈴木椋大。最終ラインは右から田坂祐介、新井一耀、増嶋竜也、下平 匠の4人。アンカーのポジションに佐藤勇人が位置し、2列目の4人は右から船山貴之、小島秀仁、熊谷アンドリュー、為田大貴の並び。1トップには前節のレノファ山口FC戦で初ゴールを決めたクレーベが入った。
しかし、立ち上がりからリズムをつかめない時間が続いた。小島が振り返る。
「プレスに関しては、今日は自分とアンドリューのところでスイッチを入れていました。2人が相手のセンターバックまで行った時に蹴られると、どうしてもスペースができてしまう。それはピッチ内でもっと工夫することができたと思うので、その部分はやはり自分たちの力のなさかなと思います」
7分には水戸のカウンターからピンチを招き、13分にはセカンドボールを拾われて相手の連続攻撃を受けた。悪い流れを変えたのは、為田の個人技だった。ペナルティエリア内でボールを受けると鋭いフェイントで相手をかわしてシュート。これが決まってジェフが先制点を奪った。
しかしその後も劣勢が続いた。21分には水戸のMF黒川淳史の突破からゴール前に侵入され、全体的に押し込まれる我慢の時間が続く。32分には船山のFKにクレーベが飛び込み、37分にはクレーベとの連係から船山がミドルシュートを放ったがいずれもゴールには至らなかった。
ジェフがなかなか主導権を握れなかった理由はピッチコンディションにもあった。船山が言う。
「芝が長くて、濡れていなかったこともあって、自分たちのサッカーという意味ではすごくやりにくいなと感じていました。だからクレーベをターゲットとしてシンプルに蹴る展開が増えてしまって、リズムをつかめなかった」
後半も難しい展開が続いた。立ち上がりの53分には足を痛めた熊谷が交代を強いられ、やはり中盤でルーズボールを拾いきれない時間が続いた。水戸は74分に選手を2人交代し、ピッチ内を活性化させてさらに攻勢を強めた。それでもジェフは、77分に新井に代えてエベルト、83分に田坂に代えて鳥海晃司を投入し、守備網を整えて必死に食い下がった。しかし勝利をつかみかけたアディショナルタイム、ついにゴールを割られて勝点2を失った。
初スタメンを飾った新井が振り返る。
「ラインコントロールは4人でしっかり話し合いながらやっていたし、もっと良くなると思います。今日はそこが唯一良かったと言えるところ。今日は勝利にこだわったことでリスクを冒さずに相手の裏から(攻める)という意識があったのですが、その意識が少し強すぎてずるずるとそういう時間が続いてしまった気がします。自分たちが主導権を握るためにはもう少しボールを持たないといけない」
悔しそうな表情を浮かべて、船山が言った。
「ゴールを奪えて最後の最後まで粘ることができたので、本当にあと1分、2分、あそこさえ我慢できていれば。集中力は保てていたので、運がなかったと言わざるを得ないところもあったと思います」
次節はホームに戻って京都サンガF.C.と対戦する。水戸の地で取り逃がしてしまった勝点3を、何としてもフクアリで奪い返したい。