ようやく手にした初勝利について、江尻篤彦監督は無失点に抑えた「守備のマネジメント」を収穫として挙げ、“少しずつ”を強調しながらも「手応えを感じている」と口にした。もっとも、改めて手綱を締めることも忘れない。
「ただ、これが本当に“確信”に変わるまでにはなっていません」
迎えるミッドウィーク開催のFC琉球戦、さらに週末のアウェイ・ツエーゲン金沢戦は「手応え」を「確信」に変え、失った勝点を取り戻すための戦いになるだろう。序盤の監督交替に踏み切ったジェフにとって、ここからの2連戦はシーズンの行方を占う重要な180分間となる可能性が高い。
周知のとおり、FC琉球は序盤戦の台風の目となる快進撃を見せている。
アビスパ福岡との開幕戦を皮切りに、大宮アルディージャ、愛媛FC、徳島ヴォルティスを倒し、初挑戦のJ2リーグで破竹の4連勝スタート。続くモンテディオ山形戦、レノファ山口FC戦でもドローを演じ、きっちりと勝点を積み上げて第6節終了時点の首位に立っている。
オフに多くの新戦力を補強したチームだが、組織力は極めて高い。昨シーズンまでの主力を軸とする最終ラインはGKカルバハルが加わったことで一層引き締まり、中盤はJ2で確かな実績を誇る風間宏希と上里一将がダブルボランチを組む。2列目にはフリーランニングに定評のある田中恵太が加わり、上門知樹と富所 悠の技術と創造性を引き立てる形となった。
そして、やはり最も警戒すべきは1トップに位置する鈴木孝司だ。FC町田ゼルビアから加入した29歳のストライカーは、新天地でその優れた得点感覚を存分に発揮。第6節終了時点で8得点を記録し、J2リーグの得点ランキングで群を抜く首位に立っている。
前節の山口戦では今シーズン初めてリードを許す展開となったが、試合終了直前に鈴木のゴールで追いつき、土壇場の同点劇で勝点1を獲得。チームの勢いを物語るゲームとなった。
琉球の印象について、江尻が言う。
「何試合か見させてもらって、『この順位にいるのは妥当だな』、『勢いのあるチームだな』と思いました。こういう相手に対して我々がどんなサッカーをやれるかというのは、一つのこれからの方向性に出てくると思うので、僕の気持ちとしては楽しみ」
もちろん、相手がどこでもやるべきことは変わらない。覚悟を持って戦うこと。敵地で勝利した福岡戦のようなゲームができれば、間違いなく勝利を手繰り寄せられるとチーム全員が信じている。
福岡戦はスタメン出場で何度も好プレーを見せた工藤浩平が言う。
「自分たちの立ち位置を図る相手、首位の相手にどれだけできるかだと思っています。まだホームでは勝利がないので、勝ちたいと思います。自分たちは上がっていくしかないので、チームの良い部分を出して、相手の良さを潰す。江尻監督がやろうとしていることが、どれだけできるかです」
ホーム・フクアリでの今シーズン初勝利と今シーズン初の連勝を目指して。手応えを確信に変えるため、首位のFC琉球に挑む。
江尻 篤彦監督
相手の特長を出させないように、守備のマネジメントはある程度できていたかなとは思います。ただ実は、これが本当に“確信”に変わるまでにはなっていません。やっぱり試合の中でいろんなことがありますし。少しずつですけれども、手ごたえは感じています。
(琉球は)今、首位という勝点の積み上げ方を考えると、チームは良い状態で来ていると思います。何試合か見させてもらって、「この順位にいるのは妥当だな」、「勢いのあるチームだな」という風に思いました。こういう相手に対して我々がどんなサッカーをやれるかというのは、一つのこれからの方向性に出てくると思うので、僕の気持ちとしては楽しみです。「こういう相手に対して、どういう風にできるかな」っていうところが。
ゲリア
まず(福岡戦で)ファン・サポーターの皆さんに初めて勝利を届けられたことに加え、サッカー的なところでいろいろなゴールチャンスを作って、アグレッシブに戦えた。それを皆さんに見せることができたことに手ごたえを感じます。
(3バックになったことで)守備に関しては、役割がハッキリしました。攻撃の部分でいうと、自分が駆け上がれるスペースを前に見つけることができる。そのあたりはすごくクリアになっているので、自分自身プレーするにあたって心地よく感じています。
(琉球戦は)平日開催ですが、大事な試合です。まず自分たちがやるべきことをしっかりやる。チームや選手の特長をしっかり把握して試合に臨めているので、それを引き続きやれるよう、しっかり準備しています。来てくださるファン・サポーターの皆さんに、しっかりとした試合を見せられるように頑張ります!
下平 匠
琉球は攻撃的なチームで、しっかりとつないで左右に振って、フィニッシュワークはクロスからというイメージがあります。そこを抑えることも大切なのですが、ボールを出させないことなどをチームとしてうまく守りたいと考えています。相手の前線にボールが入っても焦らずに、しっかりと対応したいと思っています。(2014年に横浜FMで指導を受けている琉球・樋口靖洋監督については)1年しか一緒にやっていませんが、自分を信頼して使ってくれました。相手は首位を走っているチームですが、自分たちも(前節・福岡戦で)一つ勝利しました。ここでまた勝つことができれば上位との差も縮まっていくので、頑張りたいと思っています。
工藤 浩平
(琉球戦は)自分たちの立ち位置を図る相手、首位の相手にどれだけできるかだと思っています。まだホームでは勝利がないので、勝ちたいと思います。自分たちは上がっていくしかないので、チームの良い部分を出して、相手の良さを潰す。江尻監督がやろうとしていることが、どれだけできるかです。
琉球はJ3から上がってきている勢いがあり、調子の良さも感じます。めちゃくちゃつなぐイメージではありませんが、自信をもって気持ち良くプレーをしている印象です。ただジェフには良い選手がそろっています。前から行くというところは続けたいと思いますし、ショートカウンターが自分たちらしさでもあるので、狙っていきたいと思います。
[前節の布陣/琉球]
[前節の布陣/ジェフ]
[最近5試合の戦績/琉球]
J2第2節 03/02 vs 大宮(A) 4○3
J2第3節 03/10 vs 愛媛(H) 2○0
J2第4節 03/16 vs 徳島(H) 2○1
J2第5節 03/24 vs 山形(A) 1△1
J2第6節 03/30 vs 山口(H) 2△2
[最近5試合の戦績/ジェフ]
J2第2節 03/03 vs 新潟(H) 1●4
J2第3節 03/10 vs 山口(H) 2●5
J2第4節 03/17 vs 水戸(A) 1△1
J2第5節 03/24 vs 京都(H) 1△1
J2第6節 03/30 vs 福岡(A) 1○0
[過去の対戦成績]
なし