エースの1点を守り抜いてホーム初勝利！

ホーム・フクアリでようやく手にした初勝利は、チームに特別な勢いを加える白星になったに違いない。

スタメンは前節に続いて3-4-2-1の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは右に新井一耀、中央に増嶋竜也、左にエベルトの3バック。田坂祐介と矢田 旭がダブルボランチを形成し、右サイドにゲリア、左サイドに下平 匠が位置。2列目は右に堀米勇輝、左に工藤浩平が配置され、1トップに待望の初スタメンとなる佐藤寿人が入った。

立ち上がりからアグレッシブに仕掛けたジェフは、1分、中盤でパスをつないで左サイドから工藤がクロス。これに佐藤寿人とゲリアが飛び込むチャンスを作った。その直後には連動した素晴らしい守備でボールを奪い、決定機を演出。中盤で田坂と矢田を中心に丁寧にパスをつなぎ、チャンスと見れば鋭い縦パスを出して相手ゴールに迫った。

もっとも、首位に立つ琉球の力は想像以上のものだった。全体をコンパクトに維持して前線からフルパワーのプレスを仕掛け、ボールを奪えば素早く切り替えて攻撃に転じる。一気に畳み掛ける鋭いカウンターだけでなく、落ち着いたボールキープからテンポよくつなぐパスにジェフ守備陣が振り回されるシーンも何度かあった。いずれにしても、その駆け引きには見応えがあり、立ち上がりから緊張感のある時間が続いた。

相手に対する印象について、矢田は「ボール回しのレベルが想像以上に高かった」と話し、途中出場の茶島雄介も「たまたま首位にいるチームではなく強いチームだった」と振り返った。

一方で、戦前のスカウティングはチームにとって有効に機能した。その内容については江尻篤彦監督が試合後の会見でこう説明している。

「琉球さんは前にボールを運ぶのがうまいので、その前向きの矢印を少しでも横に向けさせるような対策を練りました」

その詳細は増嶋の言葉にある。

「（前で）ボールを奪えなくても最後には俺らがいますよという割り切った守り方を最後までできていたし、スカウティングによって相手を外に外に追い込むような守備ができていた」

均衡を破ったのは34分。左右への展開から下平が折り返し、ゴール前に飛び込んだ佐藤寿人が押し込んだ。このゴールを機に、攻守におけるジェフのギアは1段階上がった。

後半も52分のCKから増嶋のヘディングシュート、63分には見事なパス回しからのゲリアのクロス、74分にもゲリアの突破といくつかのチャンスを作ったが、ほとんどの時間で主導権を握ったのは1点を追う琉球だった。江尻監督は60分に堀米に代えて茶島、65分には佐藤寿人に代えてアラン ピニェイロ、78分にはゲリアに代えて為田大貴を送り込んだが、流れを変えることはできず我慢の時間が続く。

増嶋が言う。

「みんなで守って、みんなで攻めた。そういう試合だったと思います」

首位の立つ琉球は間違いなく難敵だった。しかしその相手をしっかりと分析し、状況の変化を見極め、やるべきことをやって勝利を手にした。ホームでの今シーズン初勝利は今シーズン初の連勝となった。再び中3日でのアウェイ戦と続く過密日程だが、チームは間違いなく変化し始めている。それを実感できた白星だった。