攻撃に課題を残すスコアレスドロー。

ファジアーノ岡山をフクアリに迎えた第9節はスコアレスドローで決着。攻撃面の課題を露呈したスコアレスドローだったが、失点をゼロに抑え、連敗を避けて勝点1を手に入れた。

スタメンは江尻新体制での基本フォーメーションとなりつつある3-4-2-1の布陣。GKは佐藤優也。3バックは右に新井一耀、中央に増嶋竜也、左にエベルトが並び、ダブルボランチに第4節水戸ホーリーホック戦以来の復帰となる熊谷アンドリューと田坂祐介が位置。右サイドにゲリア、左サイドに今シーズン初のスタメン出場となる乾貴哉が入り、2列目には茶島雄介と工藤浩平、1トップには佐藤寿人が位置した。

最初のチャンスはジェフ。3分、左サイドタッチライン際で増嶋のロングフィードを受けた乾がヘディングで中央に入れると、飛び込んだ工藤がドリブル突破を仕掛けてクロス。こぼれ球を拾った田坂がミドルシュートを放ってCKを奪うと、そのセカンドボールをつないで左サイドからクロスを入れ、新井がヘディングシュートを放った。

さらに、7分には自陣でボールを奪うと素早くカウンターを仕掛ける。茶島のパスは佐藤寿人に合わなかったが、序盤の10分間はジェフが主導権を握って相手を押し込んだ。

しかし22分、守備時のタックルによって足を痛めた田坂がピッチに倒れ、25分には矢田旭がピッチに送り込まれる。その後は4-4-2のシステムを敷く岡山の守備が安定感を取り戻し、ジェフは最終ラインと中盤でパスを回しながら攻め手を探った。35分には熊谷の縦パスに茶島が反応し、40分にはゲリア、矢田、工藤、佐藤寿人とつないで工藤がミドルシュートを放ったが、いずれもゴールには至らなかった。前半はスコアレスのまま折り返すことになる。

後半に入ると、試合展開に“動き”が見られるようになった。

3バックの一角を務める新井が言う。

「前半は相手も守備から入ってきたんですが、後半は少しオープンになりました。そういう時間帯に、例えばもう少し精度の高いカウンターを仕掛けられれば点を取れたのかなとも思います」

58分には増嶋のロングスロー、59分にはゲリアのフリーランニングで揺さぶりをかけ、68分、71分と立て続けにCKを獲得した。前半と比較して相手がやや前掛かりになったことで、素早い切り替えからのショートカウンターも何度か見せられるようになった。しかしシュート数そのものは思うように増えず、スコアレスのまま体力的に厳しい終盤へと突入した。

佐藤寿人が振り返る。

「ボールが前に入った時にフィニッシュにつなげる回数を増やさないといけない。最後の部分の質はまだまだ足りない。特にアタッキングサードに入ってからの精度や判断。そういう部分が感じられたゲームでした」

最後まで攻撃の迫力を欠いた理由は、個性を引き出せなかったことにある。新井が言う。

「もう少し強引さのようなものも必要なのかもしれません。1人で相手2人をはがすとか、少し無理のあるプレーを成功させるような力強さがないと、キレイにパスをつなぐだけではなかなか崩せない」

攻撃面の課題が浮き彫りになったゲームだったが、失点をゼロに抑え、勝点1を獲得したことはポジティブに捉えられる。頭を切り替えて準備を進め、次の勝点3を狙いたい。