5試合ぶりの勝利にアウェイスタンドが沸いた。敵地でヴァンフォーレ甲府と対戦したジェフは、船山の直接FKとエベルトのゴールで2-1と勝利。大きな手応えを感じた90分だった。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは佐藤優也。3バックは右から新井一耀、鳥海晃司、エベルトの3人。右サイドMFに茶島雄介、左サイドMFに為田大貴が入り、ダブルボランチに熊谷アンドリューと矢田 旭が位置。2列目の右に船山貴之、左に工藤浩平が並び、1トップにクレーベが入った。
同じ3-4-2-1システムを採用する両チームの対戦は10分を過ぎると落ち着き、互いに“構える守備”と“奪ってからの切り替え”に対する意識の高さが垣間見えた。
ジェフにとって最初のビッグチャンスは17分。中央やや右よりで受けた矢田がクロスを上げると、ファーポスト際に飛び込んだ為田がヘディングで折り返し、フリーの船山が飛び込んだがヘディングはわずかに届かない。その直後には甲府に決定機を作られるが、26分のピーター ウタカのシュートシーンは熊谷が粘り強い守備で対応し、30分の横谷繁のボレーシュートにも守備陣がしっかり足を出して対応した。
36分の田中佑昌のシュートを横っ飛びではじき出した佐藤優也を含めて、ジェフはこの試合でも守備における集中力の高さを示した。スコアレスで折り返した前半はやや劣勢だったが、後半に向けて手応えを感じた45分間でもあった。
後半に入ると試合は激しさを増した。56分にはジェフの左サイドから一本のパスで裏を取られ、ピーター ウタカが独走。この試合における最大のピンチだったが、エベルトの粘り強い守備と佐藤優也の飛び出しで奏功し、ピーター ウタカのシュートはゴール上に外れた。
耐え続けたジェフは62分に先制点を奪う。やや遠目の位置で得たFKを蹴ったのは、「今日はキックの感触が良かった」と振り返った船山。直接放ったシュートは壁を超えてストンと落ち、GKの手前でワンバウンドしてゴールに吸い込まれた。
船山が言う。
「1カ月近くチームを離れていたので、(スタメンでの)復帰戦でゴールが取れて良かった。(FKは)狙いどおり。入って良かった」
さらに70分。左サイドからのFKのこぼれ球を、最後はエベルトがボレーシュートで押し込んでリードを2点に広げる。ここからの展開で浮き彫りになった課題は、これからの戦いにいかさなければならない。船山は「自分たちがボールを保持する時間がもっと長くても良かった」と振り返り、工藤も「もう少し自分たちで、相手を動かしながら余裕を持ったプレーをしなきゃいけなかった」と振り返った。
試合終盤は相手に押し込まれる苦しい時間が続き、90分に1点を献上してリードは1点に縮まった。それでも、アディショナルタイムの4分間を守り抜いて何とか勝点3を獲得。5試合ぶりの白星を手にした。
江尻監督が言う。
「我々がやってきたこともゲームの中で少しずつ表現できるようになってきている手応えも感じています。課題と修正がはっきりわかりましたし、その部分をこれからも追求していきたいと思います」
上位陣とのアウェイ戦で得た勝利は、大きな自信となるに違いない。この勝点3を浮上のきっかけとしたい。