ホーム・フクアリで見せた久しぶりの快勝だった。
前半に4得点、後半に1得点を奪ったジェフは、FC岐阜を相手に大量5得点で5-1と勝利。4勝5分5敗として勝点を17に伸ばした。
この試合に懸ける江尻篤彦監督のメンタリティーは、スタメンのチョイスに表れていた。
3-4-2-1の布陣。GKは佐藤優也。3バックは右に新井一耀、中央に増嶋竜也、左に乾 貴哉が入り、ダブルボランチには熊谷アンドリューと矢田 旭が位置。
中盤の右サイドに茶島雄介、左サイドに為田大貴が入り、2列目で並んだ船山貴之と堀米勇輝の前方でクレーベが1トップを張った。
前節・モンテディオ山形戦の完敗を引き合いに出し、指揮官は言った。
「(前節)山形戦の敗戦で、やれるのにトライしないというか。そういうメンタリティーが少し蔓延していたのを、今回はトライを思い切ってしようと。
ミスしてもやり続けると。そういうかたちで選手を送り出しました。僕もそうですけれども、山形戦の敗戦で選手がより一層『やらなければいけない』というような気持ちになった」
立ち上がりからアグレッシブな攻撃姿勢を見せたジェフはセットプレーから先制点を奪う。
10分、堀米のCKは相手の頭をかすめてファーサイドに流れたが、矢田がヘディングで折り返してゴール前へ。
落下点に入った船山が見事なバックヘッドで流し込み、ジェフに先制ゴールをもたらした。
さらに2分後、またしてもCKから追加点を奪う。相手DFに身体をぶつけて競り勝ったのは新井。
見事なヘディングシュートを沈め、チームに2点目をもたらした。
ゴールラッシュは続く。
22分には中盤で前を向いた熊谷が迷わず縦パスを選択。クレーベはこれをヒールパスで後方に流し、フリーの状態で走り込んだ船山がゴール右隅に流し込む見事なシュートを決めた。
36分には相手最終ラインのパスコースを読んだ矢田が身体を投げ出すタックルでインターセプト。
こぼれ球に反応したクレーベがボールを運び、右足を振り抜いてゴール左に蹴り込んだ。
前半を終えて4-0。相手を文字どおり圧倒する展開に1万人近くが詰めかけたフクアリが沸いた。
後半の立ち上がりはシステムを変更した岐阜に主導権を握られたものの、すぐに立て直して63分に追加点を奪った。
右サイドでパスを受けたクレーベは、中央にいる船山にボールを預けるとトップスピードで相手最終ラインの背後へ。
船山から出たスルーパスを右足でコントロールし、勢いを止めることなく左足を振り抜いた。
ジェフは90分を通じて終始攻勢を貫いた。
66分には堀米に代わってアラン ピニェイロ、75分には熊谷に代わって工藤浩平、84分には乾に代わって佐藤寿人が投入されたが、誰がピッチに立ってもその姿勢が崩れることはなかった。
システムが4バックに変更された84分以降、サイドバックを務めたのは茶島と為田だ。その起用法にも指揮官の狙いがあった。
「不慣れな為田と茶島がサイドにいましたけれど、ある意味そういう中で彼らもディフェンスとしての役割をしっかり学んでほしい。
誰がどこでもやれる、アグレッシブに戦える、そういうチームにしたいと思っています」
だからこそ、江尻監督は90分に喫した失点について「納得していない」と厳しい表情を見せたが、“やるべきことをやりきった”ゲームだからこそ、それもポジティブな課題と解釈できる。
このゲームの内容と結果に、江尻監督が目指すスタイルがはっきりと見えた。
次の試合でもそれを発揮し、勝利を掴み取るだけだ。