最後の最後まで、ゴールが遠いゲームだった。栃木SCの武器であるカウンター攻撃をしのいで失点ゼロに抑えたものの、ゴール前を固める相手を最後まで崩すことができなかった。試合はスコアレスのままタイムアップを迎え、ジェフは勝点1を手にするにとどまった。
試合後、江尻篤彦監督は次のように振り返った。
「お互いに堅いゲームになってしまったと思う部分と、栃木さんのブロックをどう崩すかというトレーニングを1週間してきましたけれども、相手も堅く、我々もその部分を伸ばしていかなければならないという状況で、準備してきたことができたことと、また、次に向けて修正しなければならないところも出た」
ジェフのスタメンは3-4-2-1の布陣。GKは第4節・水戸ホーリーホック戦以来のスタメン出場となる鈴木椋大。3バックは右に鳥海晃司、中央に増嶋竜也、左に乾 貴哉が位置。中盤の右サイドは第11節・大宮アルディージャ戦以来のスタメンとなるゲリア、左サイドは為田大貴、ボランチに熊谷アンドリューと矢田 旭が並んだ。2列目には船山貴之と堀米勇輝が入り、その前方に1トップのクレーベが構える。
前半21分の時点で両チーム計4枚のイエローカードが提示されたことは、このゲームが立ち上がりから守備面の強度が高かったことを意味していた。どちらも守備時には5バックの構成となるため、攻撃ではカウンターを狙い、互いにその起点を潰そうとする。そうした駆け引きの時間は長く続き、ジェフが初めてシュートを打つまでに31分もの時間を必要とした。
ピッチ中央で右サイドからのパスを受けたクレーベは、パスをにおわせながらドリブルでボールを運び、そのままミドルシュート。ボールはゴールの枠を捉えたが、栃木のGKユ ヒョンに防がれた。さらに前半終了間際の44分、今度は右サイドから中央に進入した堀米が球足の速い縦パスを入れ、これを受けた船山がダイレクトでクレーベへ。ダイレクトでつないで突破を図ったが、これはシュートまで至らなかった。
前半は相手のカウンターを何度か受けてピンチを迎えたジェフだったが、後半はその対応も改善され、主導権を握ってボールを動かす時間がさらに増えた。
48分にはカウンターから独走した船山がラストパス。堀米がシュートを放ったがゴールの枠を外れる。62分には何本ものパスをつないでようやく打開したかに見えたが、船山のシュートは相手DFのブロックにあう。さらに70分には右サイドを突破した堀米がクロスを送り、走り込んだ矢田がシュート。しかしこれもゴールにはつながらなかった。
江尻監督は78分に堀米に代えて茶島、85分に矢田に代えて山本真希、89分に船山に代えて佐藤寿人を投入するが、停滞する攻撃の特効薬にはならず。試合はそのままタイムアップを迎えた。
船山が言う。
「相手ゴール前に人がたくさんいる状態で、それをどう崩すかがウチの課題です。今日のゲームは、それをクリアすることができませんでした。何が必要かというのは難しいけれど、一人ひとりのゴールに向かう姿勢だと思います。もちろん気持ちの問題だけではないので、もっと頭を使わなきゃいけないし、精度を上げなきゃいけない」
増嶋が「勝たなきゃいけなかった」と振り返ったとおり、勝点1ではもの足りないゲームだった。フクアリに鹿児島ユナイテッドFCを迎える次節、この借りを返したい。