多くのチャンスを逸した前半をスコアレスで終えても焦ることなく、後半早々に2点を奪い、そのリードを守り抜いて勝点3を手にした。フクアリに鹿児島ユナイテッドFCを迎えた第18節は2-1でジェフが勝利。見届けた誰もが“手応え”を感じた一戦だった。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは鈴木椋大。3バックは右から鳥海晃司、増嶋竜也、乾 貴哉の3人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと矢田 旭が入り、右サイドに茶島雄介、左サイドに為田大貴が位置。2列目には堀米勇輝と船山貴之が並び、1トップにクレーベが構えた。
立ち上がりからジェフは鹿児島を圧倒した。
1分には右サイドから茶島がクロス。その流れから波状攻撃が生まれ、クレーベのシュート、船山のシュートはブロックされたが攻撃の手を緩めなかった。7分には茶島のミドルシュートがポストに弾かれ、9分には為田が、10分には矢田のクロスから堀米がシュート。いずれもゴールネットを揺らさなかったが、ジェフは主導権を渡すことなく攻め続けた。
その後、ジェフの攻撃のテンポに鹿児島がなれてきたのか勢いは衰えたが、28分のクレーベのヘディングシュートを皮切りにまたしてもジェフが波状攻撃を見せる。28分には相手最終ラインの背後に抜け出した船山に決定機。32分には茶島がミドルシュートを放ち、37分には鋭いカットインからのラストパスで為田が好機を作ると、船山のシュートはわずかにゴール右に外れた。
内容的には相手を圧倒した前半だった。しかしゴールを奪えなかったことで不安もよぎったが、後半の立ち上がりに立て続けにゴールを奪い、その不安を一掃する。
まずは52分。電光石火のカウンターから茶島が右サイドを独走し、ニアサイドに球足の速いクロスを入れる。飛び込んだクレーベは相手と競り合いながらヘディングシュート。これがゴール左隅に飛び込んで先制ゴールとなった。
クレーベが振り返る。
「茶島と目が合いました。練習でもよくやっているプレーでしたし、素晴らしいクロスが上がってきたので決めるだけでした。クロスが上がった瞬間に『いける』と思いました」
このゴールを機に“ジェフの時間”は勢いを増した。直後にも波状攻撃から堀米がシュート。GKが弾いたボールに船山が詰めたが、一歩及ばなかった。しかし迎えた57分、鋭いドリブルで左サイドを突破した堀米が決定機を作り、ラストパスを船山が押し込んで追加点。ジェフがリードを広げた。
その後は反撃を狙う鹿児島に押し込まれる時間が長く続いたが、64分に1点を返されても集中力を切らすことなく、最後までゴールを守り抜いた。最終ラインで奮闘した鳥海が言う。
「主導権を握れない時間帯でも2点リードしていることをポジティブに考えて、割り切って、とにかくリードしたまま試合を終えれば勝てるということに意識を集中させることができていたと思います。最終ラインはマスさん(増嶋)が試合の流れを読んでコントロールしてくれるので、かなり綿密なコミュニケーションを取りながら試合を進めることができました」
6分間の長いアディショナルタイムを経て、試合は2-1のまま終了。4試合ぶりの勝利は“今のジェフ”にとって勝点3以上の大きな意味があると佐藤勇人が振り返る。
「今のジェフが“一番ほしい形”での勝利だったと思います。もちろん2-0や3-0で勝つことが理想だけど、2-1になって、だけど最後までみんなで身体を張って守ったこととか、チャンスがあれば3点目を狙いに行く姿勢とか、そういう部分をしっかりと表現した上で、最後に2-1のまま試合終了のホイッスルを聞くことができた。それはものすごく大きいことだし、本当に意味のある1勝」
次節は敵地で挑むダービーだ。この手応えと勢いを柏レイソルにぶつけ、江尻監督が言う「巻き返し」の速度を少しでも上げたい。