第24節終了時点で、FC琉球はジェフと勝点1差の14位。しかし序盤戦のJ2リーグを牽引したその強さは、彼らの無敗記録をストップしたジェフだからこそよく理解している。
4月3日にフクアリで行われた第7節は、ジェフがホーム初勝利を挙げたとはいえ苦しいゲームだった。琉球は全体をコンパクトに維持して前線からフルパワーのプレスを仕掛け、ボールを奪えば素早く切り替えて攻撃に転じる。一気に畳み掛ける鋭いカウンターだけでなく、落ち着いたボールキープからテンポよくつなぐパスにジェフ守備陣が振り回されるシーンも何度かあった。スタメンに名を連ねた佐藤寿人のゴールを守り抜いて勝点3を手にしたが、終始、守勢を強いられたゲームだったことは間違いない。
江尻篤彦監督が言う。
「(前回対戦のことは)あまり意識はしていません。僕は、琉球は本当に良いチームだと思っています。攻撃を全面的に出してくるチームなので、相手の良さを消すことがメインの守備ではなくて、自分たちの攻撃の良さを出すために守備があるということを植えつけたい」
序盤戦は上位争いを演じる快進撃を見せた琉球だが、シーズン中盤以降は苦しい戦いが続いている。6月と7月に行われた9試合で、勝ち星は1つ。最近3試合で3連敗と白星から遠のいている。
矢田旭は次のように展望する。
「前回よりも僕らがボールを持つ時間が増えるのかなと思っているのですが、相手のボールの動かし方がうまいことは変わらないと思います。横浜FC戦は、守れている時間はあったけれど守備でハメる場面はなかなか作れませんでした。琉球も流動的に動いてくるから状況によりますが、守備でハメるシチュエーションを作りながら、スイッチを入れて(ジェフの)攻撃につなげていきたい」
狭いスペースを有効活用して積極的に縦パスを入れてくる相手に対し、どのエリアで、どのように守り、良い攻撃につなげるのか。相手が攻撃的な意識の強いチームだからこそ、質の高い守備が求められることは間違いない。
鳥海晃司が言う。
「(琉球は)間を突くのがうまいチームなので、ディフェンスでは間を閉じることがカギになると思います。ロングボールではなく縦に速く足元に入ってくるので、ワンプレー・ワンプレーに集中しなければいけません」
前節の横浜FC戦では、為田大貴の鮮やかなゴールで先制点を奪いながら、横浜FCの変則的なフォーメーションへの対応で後手を踏んだ結果、勝負を決める2点目を奪うことができなかった。3つの失点はいずれもセットプレーから生まれたものだ。それを回避する地力をつけなければ、このリーグで勝点3を挙げることが難しいことは誰もがよく理解している。
強い攻撃姿勢と狭いスペースでのパスワークを武器に一気呵成に攻め込んでくる琉球に対し、組織的な守備で対応し、冷静な試合運びを見せてゴールにつなげることができるか。あとがない土壇場に追い込まれている今だからこそ、江尻監督の就任直後から取り組んできた攻守両面の精度が問われるゲームとなりそうだ。
江尻 篤彦監督
(琉球に対して前回対戦で勝利したことを)あまり意識はしていません。僕は、琉球は本当に良いチームだと思っています。攻撃を全面的に出してくるチームなので、(ジェフの選手には)守備の話をしましたけれど、ウチらも良い攻撃を全面的に出すために守備がある、という考えですね。相手の良さを消すことがメインの守備ではなくて、自分たちの攻撃の良さを出すために守備があるということを植えつけたいと思っています。お互いに攻撃のところで同じ色を出し合うかどうか。ここ最近の琉球の試合を見ていると、なんだか似ているところがあるようにも感じます。狭いエリアで縦パスを狙っているし、彼らも狙ってくるでしょう。そういう意味で、どちらが効果的に縦パスを入れられるかが大きなポイントになると思っています。
鳥海 晃司
(琉球は)間を突くのがうまいチームなので、ディフェンスでは間を閉じることがカギになると思います。ロングボールではなく縦に速く足元に入ってくるので、ワンプレー・ワンプレーに集中しなければいけません。先に失点をしてしまうと前がかりになって、ギャップが生じて相手を掴みづらくなってしまいます。チームとしては、失点の可能性を減らすことが大事です。前節の横浜FC戦は、流れの中では最後まで守れていましたが、セットプレー3発でやられてしまいました。あらためて声をかけることやマークをハッキリさせることで失点の確率を低くできるので、丁寧に整理しながらプレーをしていきたいです。(セットプレーは)個人の部分にもなりますが、チームとしても一からやりたいと思います。
茶島 雄介
琉球はボールをつなぐのがうまいチームで、つなぎながら攻めて来るだろうと思っています。守備で相手にやらせないようにすること、押し込まれた状況でもボールを奪った瞬間に自分が出て行くことなどの働きをしたいと思っています。(攻撃面では)岐阜戦や福岡戦で良い形が見えてきていますが、相手が前からプレッシャーをかけてきた時に自分たちの真価が問われると思うので、そこで(マークを)はがしたり、裏返せる(裏を取る)プレーをしたいと考えます。
横浜FC戦は、セットプレーが結果を左右するものになってしまいました。特に夏場はセットプレーで試合が決まることが多いので、集中してやっていかないといけません。また、ここからのアウェイ2連戦も勝点を取ることが大事になります。勝点につなげるプレーをしたいと思っています。
矢田 旭
(前節・横浜FC戦は)僕らとしては勝っていくしかない中で負けてしまったので、この琉球戦はなんとしても勝たなければいけません。アウェイ・沖縄でという状況ですが、どこが相手あろうとどこの場所であろうと、勝利を手繰り寄せるしかない。(横浜FC戦は)試合自体で言えばすごく悪かったわけではないし、でもその中でも勝ち切れなかった自分たちの弱さがある。そこを見直しながら、次は勝てるようにやっていきたいです。
(琉球との)前回対戦はけっこう守備的な戦いの中で、良い崩しから得点できて守り切った試合でした。今回はそれよりも多分僕らがボールを持つ時間が増えるのかなと思っているのですが、相手のボールの動かし方がうまいことは変わらないと思います。横浜FC戦は、守れている時間はあったけれど守備でハメる場面はなかなか作れませんでした。琉球も流動的に動いてくるから状況によりますが、守備でハメるシチュエーションを作りながら、スイッチを入れて(ジェフの)攻撃につなげていきたいと思います。
[前節の布陣/琉球]
[前節の布陣/ジェフ]
[最近5試合の戦績/琉球]
天皇杯2回戦 07/03 vs 山口(A)1●2
J2第21節 07/06 vs 栃木(H) 3○0
J2第22節 07/13 vs 岡山(H) 0●2
J2第23節 07/21 vs 水戸(A) 1●3
J2第24節 07/27 vs 新潟(A) 0●4
[最近5試合の戦績/ジェフ]
天皇杯2回戦 07/03 vs 岡山(H)0●3
J2第21節 07/07 vs 徳島(A) 1△1
J2第22節 07/14 vs 岐阜(A) 2△2
J2第23節 07/20 vs 福岡(H) 3○0
J2第24節 07/27 vs 横浜FC(H) 1●3
[過去の対戦成績]
19/04/03 千葉 1-0 琉球