理想的なゲーム運びで、ジェフが敵地のFC琉球戦に勝利した。
スタメンは4-4-2の布陣。GKは鈴木椋大。最終ラインは右からゲリア、新井一耀、鳥海晃司、下平 匠の4人。中盤はダブルボランチに矢田 旭と小島秀仁が並び、右サイドに堀米勇輝、左サイドに為田大貴が入った。2トップでコンビを組むのはクレーベと船山貴之だ。
極めて冷静な立ち上がりだった。中盤のパスワークに優れ、積極的に縦パスを入れてくる琉球の攻撃に対し、ジェフは前から深追いしすぎず、スペースを消す組織的な守備で相手のミスを誘った。ボール支配率で上回ったのは琉球だったが、ジェフは落ち着いた守備を貫き、大きなピンチを招くことなくチャンスをうかがった。
最初のチャンスは11分。左サイドからの為田のクロスに船山が飛び込んだがわずかに届かず、19分には右サイドゴールライン付近からクレーベがクロスを上げ、堀米が飛び込み好機を作った。30分には堀米がカットインからミドルシュートを放つなど、ここ数試合で精度が上がりつつあるジェフの正攻法“サイド攻撃”が機能。徐々に相手を押し込み、チャンスを拡大した。
そんな中で生まれた待望の先制点は、前半終了間際の43分。相手のクリアボールを為田が奪って船山につなぐと、左サイドに展開して下平がクロス。相手の背後からニアサイドに飛び込んだクレーベが技ありのダイレクトシュートを放ち、これがゴール右隅に決まってジェフが先制点を奪った。
見事なアシストを決めた下平が振り返る。
「立ち上がりは少しバタバタしましたけれど、相手がある程度は前から来てくれていたので、裏のスペースを使ったり、冷静に戦うことができました。先制点が大きかったと思います」
後半の立ち上がりは同点ゴールを狙う琉球に押し込まれたが、ジェフ守備陣も身体を張って対抗する。60分、江尻監督は前節を欠場した堀米に代えて佐藤勇人を投入すると、その直後の62分、またしてもカウンターから今度は船山が絶妙のお膳立てでラストパスを送り、クレーベが冷静に決めて追加点。リードを広げて勝利に大きく近づいた。
2ゴールのクレーベはアシスト役を称えた。
「1点目はずっとトレーニングしてきた形でしたし、(下平)匠のクロスが本当に素晴らしかったので、僕は決めるだけでした。2点目についてもタカが素晴らしいタイミングでパスを出してくれました」
終盤の77分、江尻監督は矢田に代えてアラン ピニェイロを投入。80分には下平に代えてリーグ戦初出場となるベラスケスを投入し、新井、鳥海、ベラスケスの3バックにシステムを変更した。ラスト10分間は相手に攻め込まれる時間も長かったが、ピッチに立つ全員が集中力を切らすことなく身体を張り、最後までゴールを許さず完封勝利。2-0という理想的なスコアで、ジェフが勝利を手にした。
試合後、記者会見に臨んだ江尻監督は手応えを口にした。
「相手を分析して、理解して、1日のトレーニングで選手たちがそれを遂行してくれたことがすごく良かったと思いますし、当然、攻撃に目が行きがちですが、守備が安定してきていることも事実だと思っています。これからが楽しみに感じています」
アウェイ連戦は日曜日の鹿児島ユナイテッドFC戦へと続く。沖縄での勝利が大きな自信となり、鹿児島での連勝が確信となることは間違いない。だからこそ、次も必ず勝点3を手にしたい。