価値あるスコアレスドローだったと言えるだろう。
スタメンは4-2-3-1の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは右から米倉恒貴、新井一耀、増嶋竜也、下平 匠の4人。ダブルボランチは熊谷アンドリューと佐藤勇人。2列目は右に矢田 旭、トップ下に工藤浩平、左に為田大貴が位置し、1トップにクレーベが入った。
「今日は全部、耐える時間でした。とにかく我慢の時間が多かったので、最終ラインを下げすぎないようにということを意識して、その声をずっとかけていました。チーム全体のコンディションや試合の流れなどを見て、今日は我慢しなきゃいけないゲームだと思いました」
GK佐藤優也が試合後にそう振り返ったように、ジェフにとってこのゲームは、「耐える時間」の長いゲームだった。試合開始早々に激しいプレスを受けてFK、CKと畳み掛けられると、相手の圧力に押されてセカンドボールを拾えず、その流れのまま押し込まれたジェフは自陣でゴール前を固めた。
とはいえ、もちろんまったくチャンスを作れなかったわけではない。18分には左サイドから形を作り、オーバーラップした下平がクロス。ペナルティスポット付近で待ち構えたクレーベが相手の上からヘディングシュートを放つ得意の形だったが、これは惜しくも岡山のGK一森 純の好セーブに阻まれた。続いて22分、今度は右サイドから矢田がクロスを入れ、為田がボレーシュート。しかしミートせずゴール上に外れた。しかし、その後はフィニッシュのシーンを作ることはできず、“我慢”を重ねて前半をスコアレスで折り返す。
後半は攻勢に出て流れを変えようとしたが、的確にスペースを潰して組織的に連動する岡山の守備を崩せない。後半について、江尻篤彦は試合後、「岡山さんの守備に対して攻撃でうまく(パスを)つなぎたかったんですけれども、そこが課題として残りました」と振り返った。
65分には右サイドから米倉、矢田とつなぎ、縦パスを引き出した為田が相手に囲まれながらもうまく反転して左足シュート。GKにストップされたが、個人技で局面をこじ開けた。直後の67分、江尻監督は佐藤勇人に代えて鳥海晃司を投入し、この2週間トライしてきたというボランチのポジションで起用。攻守両面にもたらす変化に期待を寄せた。
しかし、終盤は岡山ペースが続いた。77分にはジェフの右サイドから廣木雄磨にクロスを上げられ、関戸健二にボレーシュートを放たれるがクロスバーに救われる。ジェフは81分、途中出場したばかりの船山貴之がFKを枠内に飛ばすが、これもGK一森に阻まれた。最終盤は為田に代えてエベルトを投入し、3バックに変更。チャンスを作ることはできなかったが、上位争いを演じる岡山の攻撃陣に対して一歩も引かず、無失点に抑えて試合を終えた。
最終ラインの新井は、この勝点1の手応えを口にした。
「試合中は『我慢しよう』という声かけを常にしていました。マスさん(増嶋竜也)ともそういう声を掛け合いながら最後までやることができたので、結果として無失点だったことは良かったと思います」
勝点3を獲得することはできなかったが、上位チームを相手に、敵地での戦いで貴重な勝点1を確保した。“無敗”を「3」に伸ばしてホームに戻り、次節はフクアリでモンテディオ山形を迎え撃つ。