ホーム・フクアリにツエーゲン金沢を迎えたジェフは、“対金沢”の戦術を遂行し、“残り3試合”に弾みをつける3試合ぶりの勝点3を手にした。
スタメンは4-2-3-1の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは右から米倉恒貴、新井一耀、エベルト、下平 匠の4人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと工藤浩平が並び、2列目は右にアラン ピニェイロ、トップ下に船山貴之、左に為田大貴が位置。1トップにクレーベが入った。
立ち上がりの主導権を握ったのは金沢だったが、ジェフは“構える守備”でうまく対応した。6分と7分に立て続けにシュートを打たれたものの、8分にはアラン ピニェイロのミドルシュートで反撃。一方の金沢は、ストロングポイントである左サイドにボールを集め、フィジカル能力の高い長身FW垣田裕暉にボールを預けて厚みのある攻撃を仕掛けた。そうした攻撃にジェフは冷静に対応し、カウンターに好機を見いだそうとする展開が続いた。
“対金沢”の守備戦術について、新井が振り返る。
「相手はロングボールで押し込んでくるという分析だったので、あまり前から行かず、しっかりセカンドボールを回収できるようにという意味で、プレスをかける位置を低めにしました。
全員がコンパクトにして、それを続けることができていたので、そういう戦いができたからこそ、もっともっと完成度を高くしたいと感じました」
意図については江尻篤彦監督がこう説明した。
「相手によって使い分けをしていて、前節のレノファ山口FCに対しては前からプレッシングをかける。今回の金沢さんに対しては、ある程度はディフェンスラインにボールを持たせてもいいからブロックを組む。
怖いのは背後への一発のパスなんですが、そのマネジメントをしっかり、新井もエベルトもやってくれていたので。ゲームとしては守備のマネジメントがうまくできていたと思います」
均衡を破ったのは21分。ジェフは下平が左サイドのコーナー付近から中に侵入し、ゴール前に張った船山の足元にパス。ゴールに背を向けた船山のラストパスにアラン ピニェイロが飛び込み、左足シュートをゴールにねじ込んで先制点を奪った。
このゴールをきっかけとしてジェフが攻勢を強めたが、しかしリードは長く続かず、30分にCKから失点。前半を1-1で折り返した。
迎えた後半、立て続けにチャンスを作ったのは右サイドバックの米倉だった。まずは53分。右サイドからのクロスでクレーベのダイビングヘッドを演出すると、67分には再び右サイドを深く突破し、中を確認してグラウンダーのクロスを入れる。ファーサイドに飛び込んだ船山のシュートは一度はポストに嫌われたが、体ごと押し込んで勝ち越し。
ジェフが再びリードを奪った。米倉が振り返る。
「前半にもああいうシーンがあったんですが、クロスが合わなかった。本当はニアにも誰かが走り込んでほしいんですが、前半からタカくん(船山)がファーに逃げる動きをしていたので、あのシーンでもファーに逃げる動きが見えて合わせました。うまくいってよかったです」
その後は積極的な選手交代で試合の流れを変えようとする金沢に対し、ジェフは戦い方を変えずに冷静に対処し続けた。後半は大きなピンチをほとんど招くことなく、2-1のままタイムアップ。ジェフが3試合ぶりの勝利を手にした。