何度もいい形を作りながら最後までゴールを奪うことができず、東京ヴェルディをホームに迎えた第40節はスコアレスドローで決着した。
スタメンは4-2-3-1の布陣。GKは佐藤優也。最終ラインは右から米倉恒貴、新井一耀、エベルト、下平 匠の4人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと工藤浩平が並び、2列目は右にアラン ピニェイロ、トップ下に船山貴之、左サイドに為田大貴の並び。1トップにクレーベが入った。
ゴールこそ奪えなかったものの、積極的なプレスと球際の強さでプレッシャーをかけ続けた前半は相手を圧倒した。
まずは5分。ショートカウンターから決定機を作り、船山のラストパスを受けたクレーベがシュート。直後も同じ形から船山、クレーベとつないだが、シュートはいずれもゴールの枠を捉えなかった。さらに7分にはアラン ピニェイロが自ら持ち込んでドリブルシュート。9分と11分にはサイドからのクロスをクレーベが落とし、アラン ピニェイロがシュートを放つ形を作ったが、この決定機も決まらない。
立ち上がりのほとんどすべてのチャンスに絡んだアラン ピニェイロは絶好調で、14分にはスルーパス、18分には見事なインターセプトから好機を演出。攻撃参加する米倉とのコンビネーション、あるいは前線に位置する船山やクレーベといい距離感を保って攻撃を作り、抜群の存在感を示した。
チーム全体としての守備も光った。前線からのコースを限定し、縦パスに素早くリアクションしてプレッシャーをかける。身体をぶつけて球際の勝負に勝ったら、セカンドボールを拾ってショートカウンターを仕掛ける。前半は何本かのミドルシュートを放たれたが、決定的なピンチはほとんどなかったと言っていい。それまで素晴らしいパフォーマンスを見せていたアラン ピニェイロが前半終了間際に負傷交代するアクシデントがあったものの、充実の内容だった。
迎えた後半も、60分前後まではジェフが攻勢を維持した。しかし、その後は徐々に東京Vがテンポのいいパスワークでリズムを作る。決定的なピンチを作られることはなかったが、前半のように連動したプレスを見せることはできなくなった。
江尻篤彦監督が振り返る。
「後半の中盤くらい、やはりディフェンスラインと中盤のラインが下がりすぎてしまい、その空間を相手に使われてしまいました。そこが反省点ですし、それがあったからこそ(佐藤)勇人を入れました。レノファ山口FC戦では、まったく同じようなボールの動かし方をされながら、あの時間帯に失点してしまいました。それを考えると、僕の中では早めに手を打って修正したかったという思いがありました」
76分、工藤に代えて佐藤勇人を投入。全体を落ち着かせてもう一度押し返すべく、いくつかカウンターからチャンスを作って相手ゴールに迫った。しかし、ゴールは最後まで生まれず、4分間のアディショナルタイムを経てタイムアップ。試合はスコアレスのまま勝点1を分け合った。
今節の結果により、ジェフは来シーズンもJ2リーグを戦うことが決まった。江尻監督は残り2試合に向けた意気込みを次のように話した。
「ただ、残り2試合が来年につながる大事な2試合になるということは、今、選手たちに話しました。2週間、集中の糸を切らすことなく、まずは昇格争いをしている京都サンガF.C.にどれくらいやれるかを試せると思います」
敵地での京都戦と、ホームでの栃木SC戦。いよいよラスト2試合でジェフの2019シーズンが幕を閉じる。