2019シーズンのラストゲームは、すなわち佐藤勇人の現役ラストゲームとなる。
ジェフが誇る背番号7は、最後の瞬間を前にこう話した。
「このスタジアムでもうプレーすることができないことを考えると、“ものすごく寂しい気持ち”と、“まだプレーをしたい”という思いが込み上げてきます。自分がピッチに立ったときには、リスクを冒したいですね。リスクを冒すことで20年間やってくることができましたし、それで自分の立ち位置や価値を証明してくることができたと思っています」
今シーズン最後の対戦相手は栃木SC。第41節終了時点で21位に位置し、J2残留争いを戦ってる彼らが望みをつなぐ方法は“勝利”しかない。だから間違いなく、リスクを冒した強気のサッカーでジェフに向かってくるだろう。最終節を勝利で飾るために、勇人が言う「リスクを冒す」姿勢はもちろんジェフにも必要とされる。
江尻篤彦監督が言う。
「勇人を良い形で送り出したいなと。それは選手とも一緒の考えです。ただ栃木さんもそうですが、そこに鹿児島さん、町田さんも(J2残留争いに)絡んでいる中で当然変なゲームにはしたくない。僕らも全力で戦わなければいけません」
J2残留に向けて士気を高めている栃木は、この最終盤に来て調子を上げている。
第39節はアルビレックス新潟に2-1、続く第40節はJ1昇格争いを演じている大宮アルディージャを相手にスコアレスドローを演じ、ホーム2連戦で勝点4を積み上げた。さらに、前節の第41節は敵地でV・ファーレン長崎と対戦。このゲームはDF乾大知のゴールで前半に先制点を奪うと、まさに執念の試合運びでこの1点を守り抜き、勝点3を手に入れた。この3試合で勝点7を積み上げて「37」し、いずれも「40」のFC町田ゼルビアと鹿児島ユナイテッドFCにプレッシャーをかけながらこの最終節を迎えている。
相手の勢いにのまれれば、ジェフは間違いなく苦しむだろう。工藤浩平が言う。
「(栃木は)堅い守備で気持ちのこもったゲームを続けている印象があります。自分たちは、相手の立ち位置を見て外すこと、相手を見てサイドチェンジすること、3人目の意識など、ここまでやってきたことをピッチの上で表現するだけだと考えています」
ジェフは東京ヴェルディ戦、京都サンガF.C.戦と2試合連続で無得点に終わっている。“過去最低”の順位で今シーズンをフィニッシュすることはすでに決定しているが、これ以上順位を下げるわけにはいかない。勇人のラストゲームは、ジェフのプライドを懸けた大切な一戦だ。
黄色に染まったフクアリで、勇人を中心とする歓喜の輪を広げたい。そのために必要なのは、勝利しかない。
江尻 篤彦監督
最後、良いシーズンの締めくくりをしたいというのと、勇人を良い形で送り出したいなと。それは選手とも一緒の考えです。ただ栃木さんもそうですが、そこに鹿児島さん、町田さんも(J2残留争いに)絡んでいる中で当然変なゲームにはしたくない。僕らも全力で戦わなければいけません。
ただ今の栃木さんを見ていると、下の争いをしているようなチームがやっている試合内容ではなく、僕らが全力を出さなければ良い形で終われないと、分析しながら感じています。しっかりこちらも準備をした中で、しっかりした選手を送り出したいというのは、最終節も変わらないと思っています。
佐藤 勇人
(フクアリはどんな場所だったか)ファーストゲームにはピッチに立っていました。自分の中で本当のホーム。このスタジアムでもうプレーすることができないことを考えると、“ものすごく寂しい気持ち”と、“まだプレーをしたい”という思いが込み上げてきます。
栃木も勝点3を取りにきます。相手のサポーターもたくさん(フクアリに)足を運んでくれると思いますし、自分たちはプロである以上、良い準備をして良い試合をするだけです。自分がピッチに立ったときには、リスクを冒したいですね。リスクを冒すことで20年間やってくることができましたし、それで自分の立ち位置や価値を証明してくることができたと思っています。
工藤 浩平
今シーズンを振り返ると目標には届かない結果となってしまいましたが、最後にホームゲームで、しっかりと勝って終わりたいと思います。栃木戦は、尊敬する先輩方のラストゲーム。エジさん(江尻監督)にはジュニアユース時代から指導してもらいましたし、勇人くんは「後悔しかない」と言っていましたが良い形で終われるように送り出したいです。
(栃木は)堅い守備で気持ちのこもったゲームを続けている印象があります。自分たちは、相手の立ち位置を見て外すこと、相手を見てサイドチェンジすること、3人目の意識など、ここまでやってきたことをピッチの上で表現するだけだと考えています。ここ最近の試合では前半の頭にチャンスを作れているので、そこで決め切れるようにしたいと思います。
為田 大貴
(前回対戦時は栃木の守備が)堅かったイメージはありますね。そして勢いのある選手もいるので、そこを自分たちの力で打開していかないといけないと思います。そしてカウンターのところ、セットプレーのところで、自分たちの強さを見せないといけません。相手のストロングポイントをうまく消せる試合展開にできればと思っています。
(栃木・田坂監督は大分在籍時代の)恩師で、田坂さんが監督として始めたときの最初の選手として、自分はプレーさせてもらいました。もちろん感謝している監督ですし、教わったこともたくさんあります。そういうところを対戦で見せられればいいなと思っています。逆に自分のストロングポイントを消されないようにプレーしていきたいです。
[前節の布陣/栃木]
[前節の布陣/ジェフ]
[最近5試合の戦績/栃木]
J2第37節 10/20 vs 琉球(H) 0●2
J2第38節 10/27 vs 岡山(A) 0●1
J2第39節 11/03 vs 新潟(H) 2○1
J2第40節 11/10 vs 大宮(H) 0△0
J2第41節 11/16 vs 長崎(A) 1○0
[最近5試合の戦績/ジェフ]
J2第37節 10/20 vs 柏(H) 0●3
J2第38節 10/27 vs 山口(A) 2●3
J2第39節 11/03 vs 金沢(H) 2○1
J2第40節 11/10 vs 東京V(H) 0△0
J2第41節 11/16 vs 京都(A) 0●1
[過去の対戦成績]
15/03/21 栃木 1-1 千葉
15/09/23 千葉 2-0 栃木
18/06/30 栃木 0-1 千葉
18/11/17 千葉 0-0 栃木
19/06/09 栃木 0-0 千葉