ポジティブな課題が多く見つかった90分間だった。
フクアリで行われた第25回ちばぎんカップは、0-2で柏レイソルに軍配。ジェフは序盤の失点を挽回することができずに敗れたが、2週間後のJ2リーグ開幕に向けた準備をここから加速させる。試合後の記者会見で尹 晶煥監督は、「課題を改善し、チームとして発展させられるところがかなり多く見受けられた」と前向きなコメントを残した。
スタメンは4-4-2の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右から米倉恒貴、新井一耀、チャン ミンギュ、安田理大の4人。中盤はダブルボランチに熊谷アンドリューと田口泰士が入り、右サイドに田坂祐介、左サイドに堀米勇輝が位置。2トップにはクレーベと船山貴之が並んだ。
立ち上がりの20分のパフォーマンスは、結果的にこのゲームの勝敗を分けるものとなった。
攻守の切り替えの速い柏に押し込まれ、ジェフはミスを重ねてズルズルと後退する。いずれもミスが絡んで7分にオルンガ、11分にクリスティアーノのゴールを許し、早々に2点のビハインドを負って劣勢を強いられた。米倉が言う。
「確実に防ぐことができた失点だったし、ああなってしまうとプランが崩れてしまう。あのまま0-0でいって、相手にボールを持たせながらもしっかり我慢して、いい形で1点を奪ってきっちり勝つというのが現時点でやろうとしていることなので。だからこそ、ああいう形での失点は避けなければならない」
ジェフは守備では4-4-2のフォーメーションで3つのラインから成るブロックを形成するが、網に引っ掛けてボールを奪っても、自らのミスによって再びボールをロストするシーンが目立った。確かに柏の攻守の切り替えは速く、プレッシャーのかけ方も整備されていたが、尹監督は「自分たちのミス」と振り返っている。
「攻撃については我々が奪ったボールを奪い返されるシーンがあまりにも多かったし、相手の守備というより、我々のミスから招いたものばかり。今日は公式戦に近い形での初めてのゲームでしたし、柏レイソルという強い相手と向き合ったことで、相手のスピード感にうまく対応できない部分は確かにありました。ただ、これは十分に改善、修正できると考えています」
落ち着きを取り戻した後半は大きなピンチを招くことなく進められたが、攻撃面で大きなチャンスを作れなかったことは課題として残る。ボールを奪った後にミスなく組み立て、相手ゴールに迫るために必要なことは何か。現時点でのチームとしての考え方について米倉が言及した。
「ビルドアップについては今のところ『シンプルに前に』という考え方がありながら、もちろんつなげるところはつながなければならないし、組み立てるところは組み立てないといけない。そのメリハリは必要です。今はキャンプからやってきた戦術をいかに表現できるか。自分たちは、監督を信じてやり続けたい」
61分に船山に代わって川又堅碁が投入されてからは、攻撃面でのシンプルさがより明確になったことで押し込む時間帯を作った。為田大貴、見木友哉を続けて投入し、左サイドに見木と下平、右サイドに米倉と安田を並べる布陣を試せたこともポジティブだ。最後までゴールを割ることはできなかったが、ブロックを敷く守備とビルドアップに「改善できる課題」を見つけられたという意味で、収穫の多いゲームだった。
指揮官が言う。
「どのチームについても『100%』というものはありません。100%に近づけることが大事であって、そのために何を優先するのかが大事」
開幕まであと2週間。長いシーズンを戦う上で不可欠な“修正力”を、FC琉球との開幕戦でしっかり示したい。