敵地に乗り込んでのFC町田ゼルビア戦は、まさに理想的な勝利だった。
スタメンは4-4-2の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右からゲリア、チャン ミンギュ、新井一耀、安田理大の4人。中盤の底に田口泰士と見木友哉が構え、右サイドに米倉恒貴、左サイドの船山貴之が位置。2トップには川又堅碁と山下敬大が並んだ。
互いに相手の出方をうかがう静かな立ち上がりだったが、14分の平戸太貴のミドルシュートをきっかけに町田が主導権を握りかける。直後の17分にはブロックの間にパスを通され完全に崩される形でピンチを招いたが、マソビッチのシュートは新井章太がブロックした。
しかし23分、左サイドの攻撃から船山がミドルシュートを放つと、ここからジェフがペースを取り戻した。31分には中盤でパスを受けた見木が思い切りよく左足ミドルシュート。見事に枠に飛んだ強打は相手GK秋元陽太の好守に阻まれたが、直後の33分にはこの流れで獲得したCKから山下が強烈なヘディングシュートを放つなどジェフの攻勢が続いた。
待望の先制点は前半終了間際の41分に生まれた。長距離のFKを直接狙った田口のシュートは、相手に当たってコースが変わりそのままゴール右隅に飛び込む。さらに43分、右サイドの攻撃から山下と川又が最前線で絡み、ポストプレーに飛び込んだ米倉がシュート。グラウンドに叩きつけたシュートはGK秋元の頭上を越えてゴールに吸い込まれ、理想的な展開で追加点を奪ったジェフの2点リードで前半を折り返した。
貴重な2点目について、米倉が振り返る。
「(ポストプレーをした)堅碁とはいつもどうやったら点を取れるか、どうやったらもっと良くなるかを互いに話し合っているので、アイツにボールが入ったら自分も入って行こうという意識は常に持っていました。ゴールになって良かったです」
迎えた後半。選手交代などによって攻撃に変化を加えてきた町田に対し、ジェフは努めて冷静な対応を見せた。安定的な守備ブロックを形成する意識をさらに強め、いい位置でボールを奪うことができた時にだけカウンターを狙う。その判断基準がチーム全体でしっかりと共有され、危なげなく時間を進めることができた。
62分には川又に代えて櫻川ソロモンを投入。この時間帯も相手にボール主導権を握られたが、守備の組織を乱すことなく冷静に対応した。76分には高い位置でボールを奪った山下が自らシュート。78分にはゲリアと米倉のコンビネーションで右サイドからチャンスを作り、80分を過ぎると守備の意識をさらに強め、84分には守備の活性化の意味で米倉に代えて矢田旭、船山に代えて為田大貴を投入した。さらにアディショナルタイムには山下に代えて岡野 洵、田口に代えて小島秀仁を投入する盤石の態勢でタイムアップ。5試合ぶりの勝利は、複数得点・完封という見事な内容だった。
新井章太が言う。
「5連戦が始まる前にしっかりと修正できたということはプラスに考えていいと思います。みんなで勝とうとしている姿勢がどんどん良くなっていると思います」
次節はホームに松本山雅FCを迎える。5連戦の2戦目。再開後まだないホームでの勝利を手にして、自らの力で連勝の弾みを得たい。