シーズン前半戦のラストゲームだ。
フクアリにレノファ山口FCを迎えるこのゲームで、ジェフは激動の2020シーズンの半分を消化する。誰も経験したことのない特別なシーズンであり、そこに感じる想定外の難しさも確かにある。それでも懸命に前に進もうとしているのは、尹 晶煥監督も同じだ。
「最初は選手たちも試合に慣れていないところがあって、戦術についても分かってはいるけれど、それが浸透し切れていないような感じもありました。スケジュールもタイトでメンバーも代えてやっていて、それがいいか悪いかは分からない。ただ、それがうまくいっていなかったことも事実ですから、これからどういうふうにしていくかが課題だと思います」
指揮官が口にした難しさや自身の迷いは、ここまで直面してきた不安定な結果とも結びつく。ただ、そうして課題と向き合いながらも、ひとつずつ積み上げてチーム力を高めてきた自負は選手にも監督にもある。だから尹監督は、チームの雰囲気について「今の状態を続けたい」と話した。
第20節終了時点で最下位に位置する山口も少なからず“迷い”や“難しさ”を感じているはずだが、最近5試合は1勝2分2敗と調子を上げており、前節は東京ヴェルディを2-1で退けている。システムや戦い方を頻繁に変えるチームだが、東京V戦ではスタートポジションを4-3-3としながら、ビルドアップ時は3バックに変形して両サイドが高い位置を取る戦術を採用。攻撃面ではそれが奏功し、特に左サイドに張る田中パウロ淳一の2アシストが大卒ルーキー浮田健誠の2ゴールを呼び込んだ。圧倒的な突破力を誇る田中を封じることは、守備面におけるジェフの課題となることは間違いなさそうだ。
相手の印象について、尹監督は言う。
「山口は(ボールを)つないでくるチームで、チームとしてプレーをする感じがすごくあるなという印象です。明日はまたメンバーを代えてくると思うので、簡単に勝てるチームではないなと思っています」
昨シーズンまで山口でプレーした山下敬大は「力のあるチーム」と話した。
「僕がいたときとどう変わっているのか、正直分からないところもありますが、攻守にわたってワクワクするようなサッカーをするし、個人の能力が高い選手も多くいて、力のあるチームです。今年も人がそろっていると思うので、チャレンジャーの気持ちで臨みたいと思っています。今年キャプテンになった池上丈二選手は、試合にテンポを出したりゲームリズムがすごくうまい選手なので、そこに入るボールを消しつつやっていきたいです」
2連勝中のジェフは、自分たちが積み上げてきたサッカーを、その時の最高のレベルで発揮できればどんな相手でも勝てるという自信を少しずつ手に入れ始めている。2-1で勝利した前節のファジアーノ岡山戦は、後半における戦い方の課題に再び直面する内容だったが、それでも勝利を結果を手に入れられたことが大きい。鳥海晃司が言う。
「ホームで追い付かれるシーンが続いていたので、そういった意味でも集中力を高く守れて、流れを断ち切れたのはすごく良かったと思います。相手のシュートゾーンというか、シュートされるときは、『しっかり体を投げ出そう』とチームで言っていたので、そういうところが出たかなと思います」
自分たちのスタイルを貫き、結果を安定させる難しさに何度も向き合ってきた前半戦の総括として、3連勝が懸かった山口との一戦は大きな意味を持ちそうだ。何としても勝点3を手に入れて、その歩みを着実に一歩、前に進めたい。
尹晶煥監督
ホーム2連戦で、スケジュール的にはすごくタイトなのですが、ホームで絶対勝点3を取るために、チームとしてやるべきことをしっかりやり続けることが大事だと思います。選手たちもいい練習をしていて、雰囲気も良くなっているので、この良い雰囲気を続けていきたいなと思います。
山口は(ボールを)つないでくるチームで、チームとしてプレーをする感じがすごくあるなという印象です。明日はまたメンバーを代えてくると思うので、簡単に勝てるチームではないなと思っています。この前(岡山戦)は後半バックパスが多かったので、勝っても負けても、もっと前にプレーすることが大事になると思います。それをしっかりやればもっとうまく時間を使えると思うし、それと最後の失点の場面など、そこで油断せずに、最後まで集中することが大事になると思っています。明日(山口戦が)前半戦の最後の試合なので、勝って良い雰囲気で後半戦を始められたらいいなと思っています。それは選手たちもそういう風に感じていると思うので、何とか明日は勝ちたいです。
鳥海晃司
前節は2-0でいければ良かったのですが、失点してしまったあとは、切り替えてやっていました。ホームで追い付かれるシーンが続いていたので、そういった意味でも集中力を高く守れて、流れを断ち切れたのはすごく良かったと思います。相手のシュートゾーンというか、シュートされるときは、「しっかり体を投げ出そう」とチームで言っていたので、そういうところが出たかなと思います。(守備の改善点は)ラインを下げ過ぎてしまったシーンが後半に増えていたので、後ろからしっかり押し上げてコンパクトにして、前から行けるような守備を心がけたいです。(安田選手が上がったときのケアについては)ミチさんの攻撃はすごくストロングだと思っているので、上がれるときには上がってもらって。というのも、その上がった(ことにより空く)ポジションは僕がカバーすれば良いと思っているので、ミチさんがやりやすいようにポジションを取ることを意識しています。
(山口は)クロスが多いというのが印象としてあるので、クロス対応をしっかりやっていければと思います。
山下敬大
僕自身、ずっと試合に使ってもらっているのに得点という形で結果が出せていないのが事実なので、そこ(ゴール)は常に狙っています。(古巣戦となる山口戦は)すごく楽しみな一戦ですが、気負い過ぎることなく3連勝を目指して頑張ろうと思っています。(2連勝の手応えは)先制点を早い段階で取れていますし、入りの部分で非常に集中できているので、そこは継続しつつ、あとは集中力が切れる時間帯にどれだけ高められるかだと思っています。キツくなってくる時間帯もなるべくみんなでカバーし合って、岡山戦のような失点はなくしたいと思っています。
(山口は)僕がいたときとどう変わっているのか、正直分からないところもありますが、攻守にわたってワクワクするようなサッカーをするし、個人の能力が高い選手も多くいて、力のあるチームです。今年も人がそろっていると思うので、チャレンジャーの気持ちで臨みたいと思っています。今年キャプテンになった池上丈二選手は、試合にテンポを出したりゲームリズムがすごくうまい選手なので、そこに入るボールを消しつつやっていきたいです。
[前節の布陣/山口]
[前節の布陣/ジェフ]
[最近5試合の戦績/山口]
J2第16節 09/02 vs 山口(A) 0△0
J2第17節 09/05 vs 福岡(A) 0●2
J2第18節 09/09 vs 松本(H) 2△2
J2第19節 09/13 vs 水戸(A) 2●4
J2第20節 09/19 vs 東京V(H) 2○1
[最近5試合の戦績/ジェフ]
J2第16節 09/02 vs 福岡(H) 2△2
J2第17節 09/05 vs 京都(A) 0●2
J2第18節 09/12 vs 新潟(H) 1●3
J2第19節 09/19 vs 愛媛(A) 2○0
J2第15節 09/19 vs 岡山(H) 2○1
[過去の対戦成績]
17/04/15 山口 0-1 千葉
17/08/11 千葉 2-1 山口
18/06/02 千葉 2-2 山口
18/09/01 山口 0-4 千葉
19/03/10 千葉 2-5 山口
19/10/26 山口 3-2 千葉