堅守際立つポジティブな勝点1。

大きな手応えを感じるスコアレスドローだった。

スタメンは4-4-2の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右から本村武揚、チャン ミンギュ、鳥海晃司、安田理大の4人。中盤の底に田口泰士と見木友哉が構え、右サイドに船山貴之、左サイドに為田大貴が位置。2トップには川又堅碁とクレーベが並んだ。

守備面に関してはほぼパーフェクトと言っていい前半だった。

京都サンガF.C.は3バックの中央に位置するヨルディ バイス、さらに中盤の底に位置する庄司悦大を中心とする重心の低いビルドアップを特徴とするが、ジェフは最終ラインを高く保ちながら状況に応じて適度なプレスをかけ、ボールを外に追い出してインターセプトを狙った。狙いどおりの守備でルーズボールを拾い、ショートカウンターを仕掛けて何度かチャンスを作った。

時間の経過とともに焦れ始めた京都は、最前線に位置するピーター ウタカが中盤まで下りてボールを受けようとするなど局面の打開を試みたが、ジェフの選手たちはバランスを見極めて冷静に対応し、相手にほとんどチャンスを作らせなかった。

一方の攻撃面では、16分の船山のシュートを皮切りに徐々にリズムを掴み始める。19分には左サイドから安田がクロス。21分には本村が右サイドタッチライン際で惜しいスルーパスを送り、29分には相手のビルドアップをインターセプトしたクレーベがそのままドリブルシュートを放った。決定的な場面を作ることはできなかったものの、守備の安定によって少しずつ押し込んでいる手応えはあった。前線からのプレスとポストワークで貢献していた川又の負傷退場は残念だったが、代わりに入った山下敬大もきっちりと同じ役割をこなしてスコアレスのまま前半を終えた。

迎えた後半、先に動いたのは京都だった。53分、2列目にいた中川風希に代えて長身FWの野田隆之介を投入すると、野田を最前線、ピーター ウタカを2列目に配置して攻撃の形を変える。前半のような重心の低いビルドアップではなく、野田をターゲットとするロングフィードやピーター ウタカの足下を狙う縦パスも増え始めた。しばらくは京都が主導権を握る時間帯が続いたが、ジェフは組織を乱すことなく我慢の守備を続けた。

ジェフのチャンスは66分。田口を中心とするパスワークから左サイドに展開し、為田がドリブルで仕掛けてクロス。逆サイドに流れたボールに反応した船山がシュートを放ち、こぼれ球を拾った船山が折り返すと山下がシュートを放った。

その後は再び我慢の時間が続き、両者とも決定機を迎えられないまま試合は終盤に突入する。ジェフは78分に右サイドから崩すが決定機にはならず、さらに80分にも右サイドから船山がクロスを入れて相手を押し込んだ。逆に85分にはパスミスから相手のカウンターを招き、野田にシュートを打たれるがうまく対応したGK新井が身体に当てる。ジェフはラストの数分間まで攻撃の姿勢を崩さなかったが、最後までゴールをこじ開けることができずスコアレスドローに終わった。

それでも、手応えは大きい。尹 晶煥監督が言う。

「選手たちは90分を通じて高い集中力で戦ってくれたと思いますし、前節もそうですが、こういう試合を続けて見たいと思うゲームでした。またすぐに試合があるので、ゆっくり休んで準備したいと思います」

5連戦ラストゲームの相手はザスパクサツ群馬。確実に備えつつ有る“負けない力”を敵地でもしっかり示したい。