勝負を決める1点こそ奪えなかったものの、“一歩の前進”を感じられるスコアレスドローだった。
スタメンは4-4-2の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右から本村武揚、チャン ミンギュ、鳥海晃司、安田理大の4人。中盤の底に田口泰士と熊谷アンドリューが構え、右サイドに矢田 旭、左サイドに為田大貴が位置。2トップには船山貴之と山下敬大が並んだ。
雨が強く降りしきり、冬のような寒さを感じる難しいコンディションの中、最初にチャンスを作ったのはジェフだった。
2分、GK新井章太のクリアをハーフウェーライン付近で山下がしっかりと頭に当て、流れたボールを拾った船山が左サイドをドリブル突破。背後から追い越した為田を使うとダイレクトでクロス。しかしニアサイドに飛び込んだ矢田のヒールシュートは惜しくも枠を外れた。
しかし10分にアクシデント。相手選手と交錯して倒れた田口が、一度は立ち上がってプレーを再開したものの肩を痛めて交代を強いられる。急遽の途中出場について、小島秀仁は次のように振り返った。
「試合の入りからみんなよく動けていたし、いい形でゲームを運べていたので、自分が入ってそれを崩さないように、流れを見ながらプレーしようと思っていました。入りは良かったと思います」
23分には最終ラインのパスミスからカウンターを受けるピンチを招くが、町田のMF吉尾海夏のシュートは新井章太の正面。34分にもビルドアップのミスから相手にボールを奪われてショートカウターを受け、高江麗央のミドルシュートがポストに直撃するなど危ないシーンが続いた。それでも、組織をコンパクトに形成して前からプレスをかけ、セカンドボールを回収して2次攻撃に移ろうとする狙いはよく見て取れた。決定的なチャンスを作ることはできなかったが、十分な手応えのある前半だった。
迎えた後半も最初のチャンスはジェフに訪れる。チャンが相手最終ラインの背後を突く縦パスを通すと、そこに走り込んだ山下が独走。相手GKと1対1の状況で放ったシュートは惜しくもGKの好守に阻まれたが、この試合で初めて決定機を作ることができた。
守備面については、後半も高い集中力を保ってコンパクトな陣形を保った。その中心にいたのが熊谷だ。相手最終ラインからの縦パスに対しては球際の強さを生かしてボールを奪い、マイボールになればサイドに散らしてリズムを作った。その存在を、指揮官も高く評価した。
「ディフェンスにおいては本当に大きな役割を果たしていますし、チームの中心選手としてこの2試合を戦ってくれました。攻守においていいバランスを取ってくれていたと思います」
64分には右サイドから崩されてピンチを招くが、平戸大貴のシュートはGK新井章太が冷静にセーブ。疲れが見え始めた73分には安藤瑞季にシュートを打たれるが、これも新井章太が正面でキャッチした。
終盤は鳥海に代わって途中出場した増嶋竜也のロングスローやサイドからのアーリークロスなど、アグレッシブな姿勢で1点を取りに行った。88分にはその増嶋の見事な縦パスからチャンスを作り、最後は山下がシュートを放ったがこれは惜しくもポストに嫌われた。長いアディショナルタイムにもゴールは生まれず、試合はスコアレスのままドロー決着となった。
尹監督が言う。
「前回の試合から今日はまた少し、攻守において発展した姿を見せられたと思います。決定的なチャンスから得点を決めさえすれば、もっといい試合になったのではないかと思います。これを続けることが一番大事です。また中3日で試合があるので、しっかり準備して臨みたいと思います」
次節は再び中3日でツエーゲン金沢をホームに迎える。この2試合で手にした勝点「2」の手応えを、次のゲームに生かしたい。