理想的な勝利だった。
スタメンは4-4-2の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右からゲリア、チャン ミンギュ、新井一耀、安田理大の4人。中盤の底に小島秀仁と熊谷アンドリューが構え、右サイドに矢田 旭、左サイドに為田大貴が位置。2トップには山下敬大と船山貴之が並んだ。
我慢の前半だった。
同じ4-4-2システムを採用する金沢との対戦はスペースが生まれにくく、両者とも探りながらボールを動かす時間が続いた。中盤で激しくプレッシャーを掛け合う主導権争いが続く中で、15分すぎから徐々にペースを掴み始めたのは金沢。16分にはジェフの左サイドからクロスを入れ、18分にはジェフのプレスをドリブルでかいくぐったMF本塚聖也がシュート。これはGK新井章太がブロックしたが、ボールを動かしながら突破口を探る金沢と、高い集中力でそれを阻止するジェフという展開が続いた。
ジェフのファーストシュートは28分。矢田の左CKに為田がヘディングで合わせてシュートを放った。37分には小島のサイドチェンジから安田と為田が左サイドでチャンスを作り、熊谷がクロス。フィニッシュには至らなかったものの、テンポのいいパスワークで相手ゴールに迫った。
そして迎えたアディショナルタイム、金沢の島津頼盛のシュートがポストを叩く幸運の直後、右サイドからの攻撃から先制点が生まれた。タッチライン際でボールを保持したゲリアがバックパスを選択すると、小島がダイレクトでクロスを放り込む。そこに飛び込んだのは山下。強烈なダイビングヘッドがゴール右隅に決まり、ジェフが待望の先制ゴールを奪った。
先制点の勢いをそのままに、後半の立ち上がりはジェフが攻勢を強めた。51分には為田のクロスから船山がシュート。直後の52分には矢田のサイドチェンジから安田が突破を試み、シュートに持ち込んだ。56分には小島、さらに59分にはペナルティーエリア内でパスを受けた船山が反転シュートを放つなどジェフのペースが続いた。
対する金沢は66分に2選手を交代し、スピードのあるDFホドルフォを左サイドMFに配置してここから流れを引き戻し始める。77分にはそのホドルフォにスピードで左サイドを突破され決定機を作られたが、シュートはポストに当たって同点ゴールを免れた。そうして劣勢になりかけた79分、尹監督は思い切った3人交代で流れを引き戻した。矢田に代えて堀米勇輝、為田に代えて見木友哉、小島に代えて高橋壱晟を投入すると、その直後の83分にこの試合を決定づける追加点が生まれる。
左サイドで相手の縦パスをインターセプトした見木は、船山との連係から縦に突破。グラウンダーのクロスを入れると、長い距離を走って飛び込んだ高橋壱晟が冷静に流し込んでゴールを決めた。
その後の約10分間も冷静に対応したジェフは、理想的な試合展開で6試合ぶりの白星。尹監督はこう話した。
「その中でも選手たちは守備の意識を高く持って戦ってくれましたし、前半の最後に得点することでいい流れに持っていくことができました。後半のいい時間帯に追加点を奪うことができて、それによって選手たちの集中力が上がったと思います。最後まで『無失点で終わるぞ』という気迫が見えましたし、それが結果につながったと思います」
次節はアウェイ。今J2リーグで最も強く勢いのあるアビスパ福岡戦に挑む。