守備をベースとする両チームの対戦にあって、立ち上がりの主導権争いと先制点の行方はこの試合の勝敗を左右する大きなポイントだった。
結果的には、その両面で、リーグ首位に立つ相手が一枚上手だったことが0-1という結果につながった。
スタメンは4-4-2の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右からゲリア、チャン ミンギュ、新井一耀、安田理大の4人。
中盤の底に小島秀仁と熊谷アンドリューが構え、右サイドに矢田旭、左サイドに為田大貴が位置。2トップには船山貴之と山下敬大が並んだ。
尹晶煥監督は前節と同じスタメンをピッチに送り出した。
ジェフは5分、セットプレーの流れからボールを拾ってつなぎ、左サイドの安田がクロス。これを新井一耀がヘディングで合わせて相手ゴールに迫った。
しかしこの立ち上がりの時間は球際の勝負で後手に回り、徐々に押し込まれて相手に主導権を握られる。
その流れで迎えた10分、ジェフの左サイドから突破を許し、クロスを松本泰志に蹴り込まれて先制点を献上。「この失点がすべて」と安田は悔やんだ。
「前半は連勝しているチームの勢いにのまれてしまったところがあって、その流れで失点してしまったことがすべてかなと思います。
後半は持ち直して自分たちのサッカーをすることができたけれど、崩し切れなかった。それを考えると、前半の入りの悪さ、失点が悔やまれます」
その後の時間帯は努めて冷静に、守備の形をしっかりと作り直して相手に対応したが、攻撃面ではなかなかチャンスを作れなかった。
29分には右サイドから放り込んだゲリアのクロスが直接ゴールに向かったが、それ以外に見せ場を作ることはできなかった。
ハーフタイム、尹監督は「動きが重いと感じた」小島に代えて、前節のツエーゲン金沢戦でゴールを決めた高橋壱晟を投入する。
迎えた後半。1点をリードしている福岡の意識が守備に傾いたことで、ジェフが敵陣深くまで攻め込むシーンが目立った。
53分には左サイドからチャンスを作り、グラウンダーのクロスに合わせた高橋がミドルシュート。
サイドに起点を作り、あと一歩で局面を打開できそうなシーンはいくつも作った。
69分には為田に代えて見木友哉を投入。77分にはその見木が左サイドで相手2人を抜き去る見事なドリブル突破を見せたが、クロスに合わせて放った山下のシュートは大きく枠を外れた。
その後も攻勢を維持したジェフは90分間を通じて9本のシュートを放ったが、首位に立つ堅守・福岡の壁を崩し切ることはできなかった。
尹監督が言う。
「それほど大きな差はなかったと思いますが、やはり序盤の失点が大きかったと思います。
それを『差』と考えることもできますが、選手たちは失点以降もさまざまなチャレンジをしてくれましたし、ペナルティーボックスの中でもいろいろなチャレンジをしてくれました」
攻撃面で中核を担った矢田も「相手の勢いを受けた」ことを悔やんだ。
「後半は自分たちの時間もできてゴールに迫る回数も増えたし、相手にチャンスを作らせることもそれほどなかったので。
後半のようなサッカーを始めからできないといけないのかなと。相手の勢いを受けてしまったので。そこが敗因だったと思います」
首位に立つ福岡との差は決して大きくない。それでも結果に表れたこの差を埋めるために、1つずつ積み上げていくしかない。