敵地でファジアーノ岡山と対戦した前節は、最も避けなければならないパターンで黒星を喫した。
前半の早い時間に先制点を奪いながら、その直後にPKを奪われて同点ゴールを献上。微妙な判定だったとはいえ、それを回避する方法がなかったわけではないことを考えると、やはり喫してはいけない失点だった。それでも、迎えた後半はしっかりと持ち直し、テンポの良いパスワークでフィニッシュを演出して相手ゴールにじわじわと迫った。その結果として理想的なショートカウンターから髙橋壱晟の勝ち越しゴールを生んだにもかかわらず、試合終盤に崩れて2失点。まさかの逆転負けを喫した。
過去に何度も繰り返してきた“負けパターン”であり、「こういうゲームをしてはいけない」ことは誰もが理解している。やはり、今のジェフに決定的に不足している“勝負強さ”を手に入れるための道程は易しいものではない。だから1つずつ課題を克服し、少しずつ修正しながら前に進むしかない。
迎える今節、ジェフはホーム・フクアリに戻って愛媛FCと対戦する。
愛媛は第30節終了時点でJ2最下位に沈んでいるが、順位が“強さ”の目安とならないことは周知のとおりだ。10月14日に行われた第25節から5連敗を喫しているものの、前節はFC町田ゼルビアと対戦し、アウェイながら2-1と勝利。7試合ぶりの勝利でぐっと高まりつつある愛媛のモチベーションは、ジェフにとって警戒すべき難しい要素となるだろう。
3-4-2-1システムで基本的にボールをつなぐスタイルで戦う愛媛との対戦では、やはり高い位置での守備からのショートカウンターが攻撃の切り札となりそうだ。愛媛はポゼッション時に両サイドMFが高い位置を取るが、そのタイミングでボールを奪えば彼らの背後のスペースが空く。相手の縦パスに対して中盤でボールを奪い、3バックの脇を攻略するショートカウンターでチャンスを作ることができれば、ゴールは見えてくるだろう。
攻撃の課題について、安田理大は一つひとつの「質」を挙げた。
「サイドのクロス一辺倒だった攻撃が、中の一番怖いバイタルエリアのところにボールが入る回数も増え、そこまではいけるようになった。今後の課題は、最後のパスやの質、シュートの質、ドリブルの質、しっかりシュートやクロスをやり切ることを意識していきたい」
一方の守備面でも、やはり両サイドに対する警戒が必要だ。前節の町田戦では山瀬功治のパスから右サイドを突破した小暮大器がクロス。最後は川村拓夢が押し込んで先制点を奪った。卓越した技術を誇るベテランMF山瀬が作る“タメ”からのサイド攻撃は、愛媛のストロングポイントだ。両サイドの攻防は勝敗を左右するポイントとなるだろう。
尹監督が言う。
「今はどこのチームも一緒で、タイトなスケジュールでみんな大変な試合をやっていると思いますが、(愛媛戦は)その中でどれくらい集中できるか、前節の(岡山戦の)失敗を次でどういう風に修正できるか、それは選手たちも考えないといけない」
古巣との対戦となる小島秀仁は、主導権を握ることの重要性を口にした。
「(愛媛は)自由にやらせたら良いサッカーをしてくるチーム。そのぶん自分たちは受けて立ってはいけないと思うので、自分たち主導でサッカーをしないといけないと思っています」
意地を見せなければならないゲームだ。これ以上、ホームで負けるわけにはいかない。
尹晶煥監督
(敗戦を受けて)まずは、監督である自分が落ち込まないようにしています。自分がそういう姿を見せてしまうと、選手たちも落ち込んでしまうので。ミスしたところをうまく修正できればまた良くなると思うし、決して(前節・岡山戦の内容が)全部が悪かったわけではないので、選手たちが修正してくれたらいいと思っています。次がどうなるかは分かりませんが、そこまで選手たちは落ち込んでいないですね。結構明るかったし、活気良く練習できたので、そういう雰囲気を(シーズンの)最後までつくっていきたいと思います。
今はどこのチームも一緒で、タイトなスケジュールの中で大変な思いをして試合をやっていると思いますが、(愛媛戦は)その中でどれくらい集中できるか、前節の(岡山戦の)失敗を次でどのように修正するのか、それは選手たちも含め考えないといけないことだと思います。ホームでは本当に勝ちたいし、勝つために選手たちがどういう気持ちで戦うか、それが一番大事だと思います。
安田 理大
攻撃の部分は、今までだとこれといった形がない感じでしたが、ここ数試合は(山下)敬大がしっかり競って、そのセカンドを拾えて、そこから二重三重の攻撃をするなど、裏の深い位置でキープして相手の陣地でプレーする機会が増えたと思います。サイドのクロス一辺倒だった攻撃が、中の一番怖いバイタルエリアのところにボールが入る回数も増えたし、そこまではいけるようになった。今後の課題は、最後のパスやの質、シュートの質、ドリブルの質、しっかりシュートやクロスをやり切ることを意識していきたいです。
(愛媛は)いろんなパターンのフォーメーションを試してくるし、基本的にはボールをつないでくるチーム。愛媛もなかなか勝てず苦戦していますが、前節は町田に勝っているので、そのぶん勢いはあると思っています。僕らにとってはホームゲームなので、その勢いに押されないように。なかなか勝てていないですけど、ホームのお客さんの前でしっかり勝つ姿を見せたいと思います。個人的には、中学のころから知っていてガンバ大阪ユースで一緒だった横谷繁選手がいます。俺の中で特別な存在なので、あいつにだけは負けないようにしたいですね。
小島 秀仁
勝っているときのゲーム運びは、全員が意識をしてやらなければいけない部分。最後に相手がパワーをかけてきたときに、慌てずに全員がポジションの役割をこなすことが、いま必要なことだと思います。1失点目(PK)のあとはみんな切り替えて試合に臨めていましたし、我慢強く戦えていた中で2点目が奪えたことはチームとして前向きなことでした。ただ勝ち切れなかったこと、複数得点を取ってもやられて(負けて)しまったのは、まだまだ自分たちの甘さだと思います。守備面は一人ひとりが整理でき始めて、安定感が出てきたと思います。
(愛媛は)自由にやらせたら良いサッカーをしてくるチーム。そのぶん自分たちは受けて立ってはいけないと思うので、自分たち主導でサッカーをしないといけないと思っています。(古巣戦への意識は)前回も出ていますし、何度も対戦をしているので。昔、一緒にサッカーをやっていた仲間とピッチで会えるのはサッカー選手の醍醐味なので、負けないように頑張りたいと思います。
[前節の布陣/愛媛]
[前節の布陣/ジェフ]
[最近5試合の戦績/愛媛]
J2第26節 10/14 vs 東京V(H) 1●4
J2第27節 10/18 vs 山形(A) 1●4
J2第28節 10/21 vs 長崎(H) 1●4
J2第29節 10/25 vs 栃木(H) 0●1
J2第30節 11/01 vs 町田(A) 2○1
[最近5試合の戦績/ジェフ]
J2第26節 10/14 vs 大宮(A) 0△0
J2第27節 10/17 vs 町田(H) 0△0
J2第28節 10/21 vs 金沢(H) 2○0
J2第29節 10/25 vs 福岡(A) 0●1
J2第30節 11/01 vs 岡山(A) 2●3
[過去の対戦成績]
18/06/16 千葉 2-1 愛媛
18/09/29 愛媛 1-0 千葉
19/02/24 愛媛 0-0 千葉
19/08/10 千葉 2-3 愛媛
20/09/12 愛媛 0-2 千葉