スタメンは4-4-2の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右から本村武揚、新井一耀、鳥海晃司、安田理大の4人。中盤の底に小島秀仁と高橋壱晟が構え、右サイドに矢田 旭、左サイドにアラン ピニェイロが位置。2トップには山下敬大と船山貴之が並んだ。
試合は立ち上がりから動いた。
6分、ジェフのCKのこぼれ球に反応した安田がダイレクトでミドルシュートを放つと、これが相手に当たって後方にこぼれ、高橋との競り合いを制した愛媛FCの有田光希に独走を許してしまう。GK新井章太が飛び出すがシュートはゴール左隅に決まり、愛媛が先制。ジェフにとっては不運な形で立ち上がりからリードを許す厳しい展開となった。
それでも、その後のジェフは大崩れすることなく「やるべきこと」を貫いた。前線から激しくプレスをかけ、セカンドボールを拾って攻撃に転じた。12分には本村のロングフィードからアラン ピニェイロがシュート。15分には山下が高い位置でボールを奪ってショートカウンターを仕掛け、船山が左足でシュートを放った。さらに25分には左サイドから安田がクロスをいれ、船山が落としてアラン ピニェイロがミドルシュート。直後の28分には再び安田のクロスからニアサイドに矢田が飛び込んでシュートを放った。
ジェフは4-4-2、愛媛は3-4-2-1とシステムこそ違うが、最終ラインを高く保ってコンパクトな組織を形成する両者の対戦では、相手最終ラインの背後を狙う駆け引きが何度も見られた。山下や船山は長い距離のランニングで相手の最終ラインを押し込み、前線で起点を作ってサイドに展開。そこからのクロスはいくつかのチャンスに直結した。
しかし0-1のビハインドのまま迎えた後半、尹監督は立ち上がりから本村に代えて下平 匠を投入し、安田を右サイドに回す修正を加えた。その采配が見事に当たり、52分、ジェフは右サイドからの安田のクロスに山下が頭で合わせ、理想的な時間帯に同点ゴールを奪った。さらにジェフの攻勢は続く。
57分には右サイドからのクロスをアラン ピニェイロがボレーシュート。62分には斜めのランニングで裏に抜けた矢田が絶妙のコントロールでラストパスを送り、山下が左足でシュートを放った。ポジティブな雰囲気の中で迎えた72分、尹監督は小島、アラン ピニェイロ、矢田に代えて見木友哉、為田大貴、堀米勇輝を投入。思い切った3人交代でさらなる活性化を試みる。しかし、75分には高橋、78分には船山、87分には安田がシュートを放って相手ゴールに迫るが、最後の最後まで逆転ゴールを奪うことはできなかった。
尹監督は次のように話した。
「立ち上がりにああいう形で失点することになり、選手たちは最後まで走り切ってくれましたし、逆転までは至らなかったとはいえ、そういう匂いのする試合をしてくれたと思います。良かった部分もありますし、続けてそれを出さなければいけないと思います。まだ試合を整理できていないのですが、選手たちは最善を尽くしてくれました。今日のような試合を続ければ良くなっていくと思います」
特に後半は攻撃の“形”を何度も作り出し、相手ゴールに迫って逆転の“匂い”を漂わせた。指揮官の言うとおりこれを「続けること」が今のジェフにとって大きな課題だが、その内容には大きな前進が見られた90分間だった。