チームとしての一体感を感じる、まさに理想的な勝利だった。4試合勝利なしで迎えたアウェイの松本山雅FC戦。ジェフは3つのゴールを奪って勝点3を手に入れた。
スタメンは4-4-2の布陣。尹晶煥監督は中2日の過密日程と前節の大敗によるメンタル的な要素を考慮して、メンバーを入れ替えた。GKは新井章太。最終ラインは右からゲリア、新井一耀、鳥海晃司、安田理大の4人。中盤の底に田口泰士と高橋壱晟が並び、右サイドに堀米勇輝、左サイドにアラン ピニェイロが位置。2トップには工藤浩平とクレーベが並んだ。
球際の激しい攻防が見られた立ち上がり、主導権を握ったのはジェフだった。
3分には好位置からFK、4分にはCKを獲得し、6分にはクレーベがヘディングシュート。14分には高橋の見事なインターセプトから攻撃を仕掛け、右サイドを駆け上がったゲリアのクロスに工藤が飛び込んだ。ゴールにはならなかったものの、この試合での「原点回帰」を再確認したジェフにとっては理想的なカウンターだった。
ところが22分、2本続いたCKのこぼれ球から、松本山雅のセルジーニョに素晴らしいボレーシュートを決められて先制点を奪われる。立ち上がりから良い流れを作っていただけに意気消沈しかねない失点だったが、この日のジェフは気持ちの“ブレ”がまったくなかった。直後の26分、左サイドで獲得したFKを堀米がゴール前に送ると、飛び込んだゲリアがヘディングシュート。これがGKの脇下をすり抜けてゴールネットを揺らし、試合を振り出しに戻した。
勢いを得たジェフは、さらに畳み掛ける。33分、ペナルティーエリアすぐ外の好位置で獲得したFKのチャンス。堀米が放った左足のシュートは壁の外側を巻くようにしてゴール左隅に決まり、ジェフが逆転に成功した。先制点こそ奪われたものの、前半のジェフは素晴らしいパフォーマンスを見せてこの試合に懸ける“気持ち”を表現した。
しかし、迎えた後半、同点ゴールを目指して前掛かりになった相手に対し、ジェフは受け身に回って押し込まれる時間が続いた。49分には中美慶哉のシュートを新井一耀がブロック。55分にはセルジーニョに強烈なシュートを放たれ、直後の57分には阪野豊史にヘディングシュートを打たれた。63分には堀米に代えて米倉恒貴を投入するが、65分には自陣ペナルティーエリア内で相手をブロックしたゲリアがハンドのファウルを取られる。それによって与えられたPKをセルジーニョに決められ、再び同点。尹監督は71分、工藤に代えて川又堅碁、アラン ピニェイロに代えて見木友哉を投入して勝負に出た。
そして迎えたアディショナルタイム。左サイドからの見木のクロスに川又が飛び込み、ニアサイドから放ったヘディングシュートがゴール左隅に吸い込まれた。最高の展開で、ジェフが5試合ぶりの勝利を手に入れた。
尹監督が振り返る。
「何より大事なのは選手たちの気持ち、心づもりです。今まではそれがブレてしまう部分がありましたが、今日はその部分がまったくブレずに最後まで戦うことができました。試合の中で何をすべきか。選手たちはそれをきっちりと理解してピッチの上に立ってくれていたと思います」
次節の相手はアルビレックス新潟。アウェイゲームが続く難しい状況だが、この勢いを持って敵地に乗り込み、勝点3を持ち帰りたい。