ホームにヴァンフォーレ甲府を迎えたジェフの2021シーズン開幕戦は、1-1のドロー決着。キャプテンの鈴木大輔をはじめとする多くの選手がホームでの勝点1について「悔しい」と口にしたが、この試合で見えたポジティブな要素も決して少なくなかった。
停滞感が漂った前半終了後、尹 晶煥監督は思い切った采配で高卒ルーキーのブワニカ啓太と新加入の末吉 塁を投入。抜群の走力を誇る彼らの存在はチームにとって大きなエネルギーとなり、それによって勢いを得たチームは相手に圧力をかけて押し込み、きっちりと同点ゴールを奪って流れを引き戻した。
さらに試合終了直前。相手に与えたPKをGK鈴木椋大がビッグセーブ。1年で最も大事なゲームの1つである開幕戦を勝利で終えることはできなかったものの、勝点3に劣らないほど大きな価値のある勝点1を手に入れた。
尹監督が言う。
「もう1回試合を見たときに、『こんなに何もできなかったのか』という印象もあり、反省もしました。(今週は)攻撃のほうの練習はけっこう多かったですね。守備は去年やったことがけっこう(積み上げとして)残っているので、守備のところを言いながら、攻撃のところにも(指導に)力を入れました」
迎える第2節。ジェフは愛媛FCとのアウェイ戦に乗り込む。
尹監督が「去年とあまり変わらない」と印象を話したとおり、今オフの愛媛は戦力の補強・放出を最小限に抑え、昨シーズンのメンバーをベースとした編成で新シーズンを迎えている。新戦力の中で目立つのは、GK秋元陽太やDF内田健太、同じくDF浦田延尚など経験豊富なベテラン勢。昨シーズンの得点源だった有田光希はヴァンフォーレ甲府に移籍した。
2018年から3シーズン指揮を執った川井健太監督は昨シーズン限りで退任し、新指揮官には和泉茂徳監督が就任。昨シーズンまでは3バックシステムをベースとして戦っていたが、東京ヴェルディとの開幕戦ではジェフと同じ4-4-2の布陣を採用した。
その東京V戦は結果こそ0-3と差が開いたものの、特に前半は愛媛も高い位置からの組織的なプレスで相手の攻撃を封じた。最前線の藤本佳希と近藤貴司、中盤の両サイドに位置した川村拓夢と小暮大器はそれぞれ個の能力が高く、1対1の局面を作られるとやっかいな存在だ。
開幕戦にスタメン出場した大槻周平が言う。
「(愛媛は)監督が代わって分からない部分もありますが、今までだとけっこうつないでくる印象があるので、守備でハメながらショートカウンターを狙っていきたいと思います」
甲府との開幕戦はブワニカ啓太の圧倒的なエネルギーと鈴木椋大の勝負強さに救われた印象が強く、残念ながら“2年目の尹晶煥体制における武器”をピッチで表現することはできなかった。愛媛は同じ4-4-2のブロックを形成するチームであるから、組織としての充実度が勝敗を左右することは間違いない。敵地での対戦とはいえ、新しい武器をしっかりと示して勝点3を持ち帰りたい。
尹晶煥監督
攻撃のほうの練習はけっこう多かったですね。「こういうことをやっていきましょう」という話は、今週ずっと言ってやっていました。守備は去年やったことがけっこう(積み上げとして)残っているので、守備のところを言いながら、攻撃のところにも(指導に)力を入れました。
(愛媛の印象は)去年とあまり変わらないなという気はしますね。ただ(開幕戦では)失点のところでミスもあったし、そういうところがチームのマイナスになったのかなと。でも油断していいチームは一つもないので、真剣に戦わないといけないと思っています。(ジェフとしては)あまり変わることはないのですが、攻撃的な守備とか、スピーディーな攻撃をもっと見せないといけないなと思っています。必死に戦う姿を見てください。諦めずに戦う姿勢は一緒なので、そこは常に考えてやっています。
(ファン・サポーターの皆さまには)いつも感謝の気持ちを持っています。アウェイゲームですが、DAZNを見て応援していただければ、声援は聞こえなくても気持ちで諦めずに戦うことができます。勝点を取ってこっちに戻ってこられるように頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。
鈴木大輔
(前節は)開幕戦ということでお互いに硬い試合でした。ホームで勝ちが欲しかったので、正直に言うと悔しい気持ちです。自分たちがやろうとする積極的な守備というところは表現できたと思いますし、その時間もありました。ゴールキーパーの(鈴木)椋大に助けられたというところがありながらも、失点したあとにそこまで大崩れをすることなく自分たちの流れにもっていけたというところは、チームとしてすごく良かった部分だと思います。(ブワニカ選手のゴールは)チームに勢いをもたらしてくれたと思っています。前半の最後の最後に失点し、流れが向こうに傾きそうななかで、後半開始から勢いをもって積極的なプレーが目立ち、自分たちに流れを引き寄せてくれた大きな要因だと思うので、すごく良かったと思っています。
この前の勝点1を良いものとしてつなげるためには、次に勝つというところがすごく大事だと思っています。(愛媛は)ハードワークしてくるというのは感じています。スペースに走ってくる選手が多いというのが印象的だったので、そこに対して自分たちがどういう守備をするのかというところが大事になると思っています。
大槻周平
(前節は)開幕ということもあって硬い試合になってしまい、特に前半に関しては緊張したかは分かりませんが硬くなった印象で、自分たちがやりたいサッカーを見せられませんでした。後半は少しずつ良いシーンもありましたが、シュートまで持っていけないシーンが多かったので、もっと(相手にとって)怖いところに持っていくことやシュートで終わることが大事だと思いました。
(チャンスを作るためには)サイドに入ったときのクロスだけで終わるのではなく、どんどん関わっていくことも大事です。フォワードもクロスだけを待つのではなく、クサビを受けにいったりだとか、チームを助ける動きをもっと出していかなければ攻撃のバリエーションが少なくなってしまう。それは次の試合に向けてやっていきたいです。
(愛媛は)監督が代わって分からない部分もありますが、今までだとけっこうつないでくる印象があるので、守備でハメながらショートカウンターを狙っていきたいと思います。(自身としては)裏に抜けることや足元で収めることは変わりません。なおかつ得点を取るということも変わりません。前線から守備をすることも変わらないことなので、これらを継続してやっていきたいと思います。
[前節の布陣/愛媛]
[前節の布陣/ジェフ]
[最近5試合の戦績/愛媛]
J2第1節 02/28 vs 東京V(A) 0●3
[最近5試合の戦績/ジェフ]
J2第1節 02/28 vs 甲府(H) 1△1
[過去の対戦成績]
18/06/16 千葉 2-1 愛媛
18/08/29 愛媛 1-0 千葉
19/02/24 愛媛 0-0 千葉
19/08/10 千葉 2-3 愛媛
20/09/12 愛媛 0-2 千葉
20/11/04 千葉 1-1 愛媛