3連勝中と勢いに乗るツエーゲン金沢とのアウェイゲーム。しかしジェフはしたたかに戦い、集中力の高い90分を過ごして今シーズン2勝目を手にした。
スタメンは4-2-3-1の布陣。GKは新井章太。最終ラインは右から米倉恒貴、チャン ミンギュ、鈴木大輔、小田逸稀の4人。中盤の底に高橋壱晟と小島秀仁が構え、2列目は右に福満隆貴、トップ下に見木友哉、左に岩崎悠人が位置。最前線の1トップには大槻周平が入った。
ジェフは立ち上がりからアグレッシブな姿勢を見せ、相手を押し込んでいくつかの好機を作った。この試合の“戦い方”について、守護神の新井章太は試合後にこう話した。
「選手の中で、前節は『ぜんぜん(前から)行けなかった』という話になって、少し“行き方”を変えたり、そういうところを意識しました。前から行って、裏に抜けられてしまっても僕がいますし、そうなったら自分が対処するからということを確認しながら過ごした一週間でした」
まずは2分。相手のパスコースを限定していい形でボールを奪うと、そのままゴールに向かって素早い攻撃を仕掛け、見木のラストパスを受けた福満がシュート。直後の4分にはCKのこぼれ球に反応した高橋がミドルシュート。5分で2本のシュートを放つ幸先のいい立ち上がりだった。
17分の攻撃はこの試合最大の決定機だった。最後尾の新井章太が前線にロングフィードを送ると、大槻が相手DFと競り合いながら裏に流し、そのボールを追いかけた見木が相手DFからボールを奪ってGKと1対1に。シュートはわずかに左に外れたが、最終ラインから一気に縦を狙うシンプルな攻撃でビッグチャンスを作った。逆に、28分には一瞬の判断ミスから相手に決定機を作られたが、新井のワンタッチもありクロスバーに救われて失点を回避。33分には再び高い位置でボールを奪ってショートカウンターにつなげ、ドリブルで仕掛けた見木が巧みなフェイントで相手をかわしてシュートを放った。これも惜しいシーンだった。
待望の先制点が生まれたのは後半序盤の59分。見木の左CKは低く鋭い弾道でニアサイドに飛び、落下点に入った小田がうまくボールをそらせてファーサイドのネットに突き刺した。
殊勲の左サイドバックが振り返る。
「“GK前”のポジションからあの位置に入ってのシュートだったんですけれど、ニアサイドに入ってそらすシュートは昨シーズンも何度か決めていますし、自信を持っています。タカくん(福満隆貴)のブロックだったり、トモくん(見木友哉)のいいボールだったり、練習でもやってきた形だったので、みんなに感謝したいと思います」
尹 晶煥監督は69分に動いた。福満に代えて小林祐介、岩崎に代えて岡野 洵を投入すると、システムを5-3-2に変更して守備的なシフトに切り替える。3バックの前に3ボランチを置くシステムは公式戦では初の試みだったが、全員が最後まで身体を張り、相手の攻撃を跳ね返し続けてタイムアップを迎えた。
指揮官が言う。
「予想どおり難しい試合になったと思います。いい守備からいいカウンターにつなげる場面もありましたし、その他にもいいシーンがありました。決定的なシーンを決めることができずに難しい試合になってしまいましたが、守備に関しては選手全員が『身体を投げ出してでも』という執着心のある守備をしていたので、それが無失点という結果につながりました」
結果にこだわった一戦だったからこそ、泥臭く奪った勝点3の意味は大きい。今シーズン初となるホームでの勝利を目指して、大きな手応えを持ってフクアリに戻る。