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2021 SEASON MATCHES試合日程・結果

攻撃面に大きな課題



試合前日の記者会見で「この試合に向けて準備してきた」と話した尹晶煥監督が用意した秘策は、ロングボールを多用する栃木SCに対応するための3バックシステムだった。

スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右に岡野洵、中央にチャンミンギュ、左に鈴木大輔が並び、中盤の底には高橋壱晟と小島秀仁が位置。右のワイドに米倉恒貴、左のワイドに小田逸稀、2列目には福満隆貴と見木友哉が並び、1トップには大槻周平が位置。この並びについて指揮官は、次のようにその意図を説明した。

「栃木は矢野貴章選手の高さを利用したロングボールを多用するので、それに押されてはいけないという思いがありました。最終ラインを3枚にすることで守備を手厚くし、逆に、前線には3人の選手を置くことで、ディフェンスをしながら攻撃に出る準備をするという意図がありました」

前半はその狙いどおりの展開になったと言えるだろう。最前線の矢野貴章をターゲットとしてロングボールを放り込んでくる栃木に対し、ジェフは高さのある岡野が“ファーストボール”に対応し、セカンドボールを拾って攻撃に転じようとした。19分にはFKの流れからチャンがヘディングシュート。そのこぼれ球を高橋がつないで福満がクロスを放り込み、ゴール前に残っていた岡野がボレーシュートを放った。特にこの時間帯は、相手のDFを引っ張り出し、その背後を狙う攻撃が機能してジェフの攻勢が続いた。

しかし決定的なチャンスを作れずに時間が経過すると、徐々に攻撃の組み立てが雑になってボールを失う機会も増えた。

尹監督が振り返る。

「3バックを採用したので、両ワイドの米倉恒貴と小田逸稀が“高すぎないポジション”に立ちながら、前にいる選手たちの攻撃時の動き出しによって揺さぶることができれば良かったと思っています。それから、サイドチェンジ。その2つで試合の流れを掴みたかったのですが、サイドチェンジや攻撃に出る時のポジショニングに余裕を持つことができませんでした」

ロングボールと空中戦、そのこぼれ球をめぐる球際の激しい攻防。それを繰り返すうちに“相手のスタイル”に合わせてしまったジェフは、ビルドアップの際に両ワイドが“中間ポジション”を取ることで前線を活かそうとする攻撃ができなくなった。守備面での狙いは試合開始当初から十分に機能していたが、特に後半に入ってからはプレス強度を上げてきた相手に対し、守勢に回って跳ね返す時間が続いた。

小島秀仁が言う。

「前半は立ち上がりからみんなが気持ちを入れていたのですが、後半は相手がより徹底して前線にボールを入れてきて、それに力負けしないようなゲームにしなきゃいけなかったと思います。一人ひとりが耐えなきゃいけない、そこからさらに点を取らなきゃいけないので、やらなきゃいけないことは多いのかなと思います」

最終ラインの中央に位置したチャンも、攻撃面での修正点を口にした。

「守備については無失点だからいいと思いますが、やはり攻撃のところは後ろからしっかり組み立てられるようにならなければいけないと思います。今日は相手に合わせる形でロングボールが増えてしまい、もちろんそれも悪くはないけれど、もっとパスをつないでいくプレーを増やしていきたいと思っています」

70分以降は相手に押し込まれる時間が続き、それでもゴールを死守したジェフは勝点1を奪ってこの試合を終えた。特に後半は、最後の最後まで、攻撃面で“可能性”を示すことができなかった。次の試合に向けては、間違いなく大きな修正点となりそうだ。

またしてもホームでの初勝利を記録することができなかったが、試合は続く。次節は4月21日。アウェイの水戸ホーリーホック戦に挑む。