“レノファ山口対策”がはっきりと機能した90分だった。
スタメンはアルビレックス新潟戦の途中から採用された3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から岡野 洵、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチに小林祐介と小島秀仁が並び、右サイドに伊東幸敏、左サイドに小田逸稀が位置。2列目に船山貴之と見木友哉が入り、1トップに初スタメンとなるサウダーニャが構えた。
互いに様子を探り合う展開の中で、最初に迎えたチャンスは20分。右サイドから伊東がクロスを放り込むと、逆サイドからゴール前に飛び込んできた小田がシュートを放った。このプレーを機に少しずつジェフがペースを握り始めると、前線で自由に動き回ったサウダーニャが積極的にパスを受けて攻撃の起点を作る。28分には左サイドからの鋭いドリブルで相手3人の壁を突破してクロス。フィニッシュには至らなかったが、流れを引き寄せる大きなプレーだった。
7分と38分に質の高いクロスを放り込まれる場面はあったものの、守備面では終始落ち着いた対応を見せた。中盤で支えた小林が振り返る。
「相手のビルドアップは中央にいた3人を経由して攻撃が始まっていたので、そこに対して、途中から僕か小島(秀仁)選手のどちらかがプレッシャーに行くようにしました。相手の起点となるところを自由にさせないようにという意識だったのですが、こちらのFWもしっかり前からプレッシャーに行けていたし、チーム全体としていいプレッシャーのかけ方ができたんじゃないかと思います」
迎えた40分、左サイドを起点とする攻撃を逆サイドに展開すると、攻撃参加した岡野がダイレクトでクロス。ニアサイドに飛び込んだ船山がヘディングで合わせて先制点を奪った。
前半の立ち上がりから、起点を作る船山のプレーは光っていた。チームとしての攻撃面の意図について、船山が言う。
「自分とトモ(見木友哉)が引いたら相手のセンターバックがついてくるので、その裏なのか、ついてこなければ自分たちが前を向いて勝負できるという情報が事前に入っていました。実際にそのとおりだったと思います」
後半はメンバー交代によって山口が4-4-2のフォーメーションに変更してきたが、ジェフは立ち上がりの劣勢を切り抜けると選手交代によって再び安定感を取り戻した。70分、尹 晶煥監督はサウダーニャに代えて大槻周平、見木に代えてブワニカ啓太、船山に代えて福満隆貴を投入。前線からのプレッシャーとポジショニングを修正し、時間の経過とともに徐々に5バック気味にシフトして1点のリードを逃げ切る展開に持ち込んだ。特に守備については、前線の動きに合わせた全体の連動が機能し続けたゲームだった。
「今日は雨が降った後にいきなり蒸し暑くなったことで、少し難しい環境での試合になりました。選手たちは最後まで非常によく集中して試合をしてくれたと思いますし、ディフェンス面でよく安定していたと思います」
尹監督が試合後にそう振り返ったとおり、難しい環境下でのゲームとなったものの、選手たちは冷静に、時間がない中で準備してきたことをこの試合で発揮した。
守備面のポイントは、相手のビルドアップに対してどのように対応するかにあった。その点では、前節の新潟戦で機能した3-4-2-1のシステムが見事にハマり、ジェフは立ち上がりから理想的な位置でボールを奪い、ショートカウンターにつなげた。逆に、セットした守備では中央でしっかり弾き返し、相手に決定機を作らせなかった。
3連戦のラスト、ジェフはホームでファジアーノ岡山と対戦する。“ホーム初勝利”のチャレンジは6度目だ。なんとしても勝利を手に入れ、連勝によって勝点を積み上げたい。