チーム力の積み上げを感じさせる90分だった。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から岡野 洵、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチに小島秀仁と田口泰士が構え、右サイドに安田理大、左サイドに小田逸稀が位置。2列目の右に船山貴之、左に見木友哉が並び、1トップにサウダーニャが入った。
この試合のポイントは、試合開始以降のピッチ内で問われる“修正力”だった。
監督交替に踏み切ったばかりの大宮の戦い方は、やはり戦い方を変えてきた。基本システムは前節までダブルボランチの一角だった小島幹敏をアンカーに、2トップの一角だった黒川淳史を2列目に配置した4-1-4-1で、前線から激しくプレスを仕掛け、重心を前に置いてセカンドボールの回収を狙ってきた。
ジェフは冷静に対応したが、相手が前線から激しいプレスを仕掛けてきた分、球際の攻防の激しさから相手に与えるセットプレーが増えた。序盤は“我慢する時間”が続いたが、それをしっかり我慢できたことが今のジェフの大きな強みだ。
鈴木大輔が振り返る。
「ピッチ内で修正するという感覚は、すごく上がっていると思います。今日はスカウティングが効果を発揮しない試合だったので、ピッチ内でどれだけ適応できるかが大きなポイントでした。今日のカギになったのは、20分過ぎまでゼロで抑えて、そこから選手同士で確認をしてやるべきことをマイナーチェンジさせられたこと。ボールの動かし方、守備のやり方含めてうまくできました」
飲水タイム明けの26分にミスからピンチを招くが、それを回避すると徐々にカウンターが決まり始める。30分には岡野の縦パスを受けたサウダーニャが、単独突破からミドルシュート。40分にはチャン ミンギュのロングフィードを右サイド前線で船山が収め、オーバーラップした岡野がグラウンダーの鋭いクロスを蹴り込んだ。ファーサイドで反応したのは見木。冷静に蹴り込んで自身4戦連発となる貴重な先制ゴールを奪った。
見木が振り返る。
「岡野選手がクロスを上げると思った瞬間に、うまく中央に行くフリをしながらファーサイドに流れられたことが自分としてはポイントでした。そこにいいボールが入ってきたので合わせるだけでした」
後半は“うまく時間を使った45分間”だった。
ミスから招いた51分のピンチを相手のシュートミスによって回避すると、その直後の52分、相手のクリアボールを拾って中盤でつなぎ、前を向いたサウダーニャが見木に預ける。キックフェイントで切り替えした見木は走り込んだサウダーニャにラストパス。見事な左足シュートが決まり、ジェフが大きな意味を持つ2点目を奪った。
その後の時間帯はイバを投入してパワープレーを仕掛けてきた大宮の攻勢が続いたが、ジェフは最後まで冷静に対応し、失点ゼロで切り抜けて試合終了の笛を聞いた。反省を含めつつ、尹監督が振り返る。
「後半は守るだけでなく追加点を決めに行こうという話をしましたし、守備からいい攻撃につなげられたと思います。今日は前線の攻撃陣によるコンビネーションも久しぶりに出ましたし、そういうシーンをもっと多く作らなければいけないと思います。選手たちは90分を通じて素晴らしい集中力を発揮してくれましたし、それが結果につながりました」
白星は3試合ぶりだが、ジェフはこれで5戦負けなし。勝点3とともに大きな自信を積み上げた90分だった。ホームに戻る次節は、モンテディオ山形と対戦する。