主導権握れず惜敗。リーグ7戦ぶりの黒星。

一瞬の隙を突かれて奪われた失点が、あまりにも大きく響いた90分だった。


スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から岡野 洵、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチに田口泰士と小林祐介が入り、右サイドに安田理大、左サイドに小田逸稀が位置。2列目の右に船山貴之、左に見木友哉が並び、1トップにサウダーニャが入った。

互いに攻撃面では小さなスペースを作り、守備面では小さなスペースを埋め合う駆け引きが続いた前半だった。

ジェフはボール保持時は船山と見木が4-3-3の1ボランチである加藤弘堅の両脇のスペースを狙ったが、東京Vの前線からの守備は連動的で、なかなかパスコースを作らせてもらえない。

11分には田口のFKから小田がシュート。17分には小田のサイドチェンジから攻撃参加した岡野が起点となり、船山がミドルシュート。決定機とは言えないもののフィニッシュに持ち込むチャンスをいくつか作り、少しずつペースを引き寄せているかに見えた。

ところが19分、一瞬の隙きを突かれて東京Vのジャイルトン パライバから縦方向にスルーパスを通されると、右サイドから飛び込んだ小池純輝に見事なヘディングシュートを決められて失点。何としても手に入れたかった先制点を相手に献上する立ち上がりとなった。

その後も東京Vの組織的な守備を攻めあぐねながら、30分にはこの試合初めての決定機を作る。相手最終ラインの裏に抜けた見木が決定機を迎え、こぼれ球に反応した船山がシュート。しかし相手の粘り強い守備をこじ開けることはできず、1点のビハインドのまま前半を折り返した。

迎えた後半、ジェフは立ち上がりから相手を押し込んだ。

51分から立て続けに3本のCKを獲得すると、55分にはタッチライン際から強引に持ち込んだサウダーニャが左足シュート。わずかにゴール左に外れたが、前半はほとんど見せ場を作れなかったサウダーニャが“らしさ”を発揮したシーンだった。

しかし、その後は攻撃の勢いを持続することができず、60分には相手に完璧に崩されて大きなピンチを迎える。主導権を握り切れなかったジェフは、66分に船山に代えて大槻周平、安田に代えて末吉 塁を投入。サウダーニャと大槻を最前線に立たせる5-3-2に変更して攻撃に変化を加え、さらに80分には小田に代えて高橋壱晟、サウダーニャに代えて岩崎悠人を投入し、再び3-4-2-1にシフト。試合終盤は高橋を左サイドMFに、90分に投入した新井一耀を最前線に配置するスクランブル体勢で1点を奪いに行ったが、最後まで相手ゴールをこじ開けることはできなかった。

尹 晶煥監督が振り返る。

「前半が始まってから流れをつかむことができず、その中で失点したことで試合が難しくなりました。攻撃の部分でもっとスムーズなプレーが必要だったと思います。リズムが合わなかった部分がありました。攻撃の選択でどちらを選択するのか、ボールを持っていない選手の動き、そういうものが少し鈍かったのかなと」

“リズム”を合わせられなかった理由について、鈴木大輔はこう話した。

「今日は少し、縦に急ぎすぎたところはあったと思います。縦に急ぎ過ぎて、ボールを失ってまたブロックを作るという流れになってしまうと、見ていてもやっていても“何となく相手の時間帯”になってしまうというか、今日で言えば東京Vが試合をコントロールする時間という形になってしまったと思います」

ジェフの公式戦無敗記録は7で途絶えた。一週間後のジュビロ磐田戦に向けて、改めて仕切り直しだ。