手応えのある“内容”に、結果がついてこなかった。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から岡野 洵、チャン ミンギュ、鈴木大輔の並び。ダブルボランチの右に小林祐介、左に田口泰士が入り、両ワイドは右に安田理大、左に小田逸稀。最前線1トップにサウダーニャが構え、その背後に船山貴之と見木友哉が並んだ。
立ち上がりから押し込まれる時間が続いたが、10分のプレーを機に流れが変わった。中盤で前を向いた小林が縦パスを送ると、サウダーニャがうまくコントロールしてファウルをもらう。このFKから流れはジェフに傾き、14分には右サイドからのクロスのこぼれ球を田口がミドルシュート。その後も立て続けにCKとFKを獲得し、相手を押し込んだ。
飲水タイム後は再び両者互角の主導権争いが繰り広げられたが、ジェフはいくつかの決定機を作った。31分、巧みなコントロールで前を向いた船山がクロスバーを叩く強烈なミドルシュートを放つと、直後の36分には右サイドから単独突破を試みたサウダーニャがラストパス。これを受けた見木がシュートを放ったが、相手DFのブロックによって決定機を逃した。
すると、前半終了間際のアディショナルタイム、左サイドから上げられたクロスがチャンの頭上を越えて磐田のMF山田大記の胸に収まる。カバーに入った岡野が身体を寄せたが間に合わず、見事なボレーシュートによって先制点を奪われてしまった。
尹 晶煥監督はこう振り返った。
「前半から、前からプレッシャーをかけて、そこからカウンターのシーンもありましたし、チャンスも作ることができました。決定力の差だと思います。選手たちは1週間かけてしっかり準備してきましたが、一瞬のプレー、ああいう形での失点・得点というのは決定力の差であると思います。それによって勝敗が分かれてしまいました」
その言葉のとおり、後半は最近6試合無失点を続けている磐田が“守備の強度”を取り戻した。
ジェフは後半開始早々にチャンスを作ったが、同点ゴールには至らず。逆に61分には磐田に押し込まれ、大津祐樹に決定的な場面を作られた。その後は山本康裕のミドルシュート、遠藤保仁のFKなど立て続けにゴールを狙われ、我慢の時間が続いた。70分には田口に代えて熊谷アンドリューを投入したが、この時間帯の劣勢を跳ね返すことはできなかった。
反撃の糸口を掴めないジェフは、84分、小田に代えて新井一耀、岡野に代えて高橋壱晟を投入。新井一耀を3バックの右に、高橋を左サイドMFに配置した。しかし相手の守備網を攻略できないままアディショナルタイムを迎えると、サウダーニャに代えて櫻川ソロモン、船山に代えて福満隆貴を投入した直後、相手のカウンターを防ごうとしたチャン ミンギュが退場処分に。試合はそのままタイムアップを迎えた。
安田は内容に手応えを感じながらも、「最後の決定力」を課題とした。
「やっている自分たちも悪くなかったと思うけれど、ああいう形で前半に1点取られてしまったら、それを逆転する力は今の自分たちには足りないと思います。ただ、それ以外については全体的に集中してやれたと思うし、チャンスも作れていたと思うので、その中で決め切れる最後の決定力をつけるように、普段の練習から意識してやっていかなければいけないと思います」
前節の東京ヴェルディ戦に続く黒星を喫し、2連敗。この悪い流れを断ち切るために、誰もが同じように口にする「決め切る力」を身につけなければならない。