ドローで勝点1を手にしたとはいえ、1点が遠い90分だった。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から岡野 洵、新井一耀、鈴木大輔の3人。ダブルボランチに小林祐介と田口泰士が並び、右のワイドに安田理大、左のワイドに小田逸稀が位置。2列目に船山貴之と見木友哉が入り、1トップにサウダーニャが構えた。
3バックのジェフに対して4-1-4-1の布陣を採用した北九州は、前半の立ち上がりから数的優位を作れる最終ラインを起点として攻撃を組み立てようとした。ワイドに張る両サイドバックを船山と見木がケアしなければならないため、中央はサウダーニャ1人で相手のCB2枚、さらにアンカーの3枚を見なければならない。
従って無理に前線からのプレスを仕掛けるのではなく、サウダーニャは相手のセンターバックにボールを持たせる立ち位置で対応。コースを限定して追い込み、入ってきた縦パスをインターセプトしてカウンターを狙ったジェフの戦い方は、前半うまく機能して相手にチャンスを作らせなかった。
9分には北九州のチャンスメーカー、高橋大悟のスルーパスから藤谷 壮の突破を許し、最後は前川大河にシュートを打たれるもゴールの右。逆にジェフはじわじわと相手を押し込みながら多くのセットプレーを獲得し、26分のCKでは小田が惜しいヘディングシュートを放った。
前半の戦いについて、新井一耀が振り返る。
「最初は相手が“ゼロトップ”のような形で前線の選手も落ちていたので、中盤に人が多く集まるような形でした。ただ、(小林)祐介と(田口)泰士くんに声を掛けながら、そこでインターセプトもできていたし、カウンターも仕掛けられていたと思います。そこのところは本当に、前半は特に良かったと思います」
後半に入ると、ジェフはやはり多くのセットプレーを獲得し、ゴール前の際どいシーンを何度も作った。57分には田口のFKから小田と新井一耀が立て続けにシュート。74分には船山に代えて矢田 旭、見木に代えて福満隆貴、小田に代えて末吉 塁を“3枚替え”を敢行し、その流れを加速させて1点を狙いに行った。
直後の75分には決定機を迎える。福満のスルーパスで相手最終ラインの背後に抜けたサウダーニャがクロス。しかし決定的な場面での末吉のシュートはわずかに右に外れた。
もっとも、終盤の流れを掴んだのは北九州だった。86分と87分には途中出場の狩土名 禅に決定機を作られたが、いずれもわずかながらゴールの枠を外れた。尹 晶煥監督が振り返る。
「攻撃に関しては、前半は少し焦ってしまったと感じましたし、もう少しバリエーションやアイデアを持ってやらなければなりません。それを理由として、チャンスは多くあったものの決定機はそれほど多く作れませんでした。クロスからのセカンドボールを拾うという部分においては、お互いのストロングポイントとウィークポイントがはっきりしていたと思いますし、セカンドボールをうまく拾えなかったことでこういう展開になったと思います」
課題である決定力については、次のように話した。
「もっと多くの動きがあれば、最後のパスはもっと入ると思います。常に前を向いてプレーをしなければならないし、その中で瞬間的に数的優位を作らなければなりません。ゴール前には常に十分な人数がいると思いますが、受け手側の瞬間瞬間の判断能力がもっと必要であると思います。得点するためにいろいろな角度から“過程”を作っていますが、相手のゴール前ではもっとトライしなければならないと感じています」
連敗の流れを断ち切ることはできたが、勝利することはできなかった。それでも、常に“改善”を目指して進み続けなければならない。次節はホーム・フクアリに戻り、ザスパクサツ群馬と対戦する。