攻守両面において、終始主導権を握り続けた90分だった。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から岡野 洵、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチに小林祐介と田口泰士が並び、右のワイドに安田理大、左のワイドに小田逸稀が位置。2列目に船山貴之と見木友哉が入り、1トップにサウダーニャが構えた。
最初のチャンスは6分。相手のビルドアップをうまく追い込んで高い位置でボールを奪うと、ショートカウンターを発動して左から右に展開。サウダーニャのパスを受けた田口のコントロールが乱れたが、このゲームの狙いの1つが見て取れるシーンだった。
その後もジェフは、コンパクトな4-4-2の布陣を敷く群馬に対し、誘い込む守備と相手最終ラインの背後への積極的なフィードで好機を作った。10分にはミスから逆にカウンターを招いてシュートまで持ち込まれるが、13分には相手最終ラインの背後に飛び込んだサウダーニャのパスを受けて船山がシュート。そうして徐々に押し込みながらいくつかのセットプレーを獲得し、少しずつ相手ゴールに迫った。24分にはボールを奪ってからの大きなサイドチェンジでチャンスを作ってCKを獲得。チャンが触れてコースを変えたボールに岡野が合わせる決定機を作った。
それでもなかなかゴールを割れないもどかしい時間が続いたが、相手の背後をイヤらしく狙う根気強い攻撃が実を結ぶ。30分には再び高い位置でボールを奪ってショートカウンターを仕掛け、33分にはFKから惜しいチャンスを演出。そして迎えた37分、後方からのFKを新井章太が前線に蹴り込むと、小田が得意のヘディングで相手最終ラインの背後に流し込む。そこに飛び込んだ船山が、素晴らしいコントロールでGKをかわしてシュート。ジェフが先制ゴールを奪った。
小田が振り返る。
「(新井)章太さんから競りやすいボールが来て、空いているスペースが見えていたので「誰か走り込んでくれ」という気持ちでうまく落とせたと思います。」
前半はそのまま1-0で終了。ここ数試合で決定力不足を課題としていたジェフにとって大きな意味を持つ先制点だったことは、後半に見せた「盤石」と言っていい試合運びに表れていた。
迎えた後半。49分に右サイドからの攻撃で決定機を作ると、安定した守備からのカウンターで追加点を狙った。そうして相手に与え続けたプレッシャーが実を結んだのか、58分には相手最終ラインのパスミスを誘い、奪ったサウダーニャが決定的なラストパス。船山が落ち着いてこの日2点目を奪い、リードを広げた。
試合はその後も、ジェフのペースで進んだ。64分にもショートカウンターからチャンスを作り、CK、FKを立て続けに獲得してチャンのヘディングシュートにつなげた。76分には見木に決定機。シュートは惜しくも左に外れたが、積極的な選手交代で流れを変えようとする相手にも冷静に対応し、2点のリードを保ったまま試合は終盤に突入した。
試合終盤、船山の退場処分によって数的不利を強いられたジェフだったが、5-3-1のブロックを作って最後まで冷静に対応した。5試合ぶりの白星は見事な完封勝利。キャプテンの鈴木大輔が振り返る。
「ここ最近は自分たちがボールを持つ時間も増えているし、守備もいい狙いを持ってやれていて、ショートカウンターもいい形でできていると思います。あとは点を取り切ることが課題だったので、今日はショートカウンターから点を取れましたし、複数得点で勝てたことはすごく良かったと思います」
リーグ中断まであと2試合。白星をつなげ、勝点を伸ばして上位陣に迫りたい。