大きな手応えを得たアルビレックス新潟との雨中の熱戦。しかしゴールが遠く、スコアレスドローによる勝点1の獲得にとどまった。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと田口泰士と構え、右のワイドに福満隆貴、左のワイドに末吉 塁が位置。2列目は矢田 旭と見木友哉が並び、1トップには櫻川ソロモンが入った。
1トップに櫻川を起用した理由については、尹晶煥監督がこう説明している。
「トレーニングの中でも特徴であるパワーを発揮していますし、以前と比較して動き出しの部分についても本当に良くなりました。ソロモンを起用することによって相手を疲弊させて、後半はサウダーニャを投入してかき回そうというイメージを持っていました」
前半はほぼ狙いどおりのサッカーができた。
キックオフ直後からボールの主導権を握ると、6分には田口が強烈なミドルシュート。7分には福満のサイドチェンジからチャンスを作るなどアグレッシブな攻撃姿勢で相手を押し込んだ。一方の新潟も11分の高木善朗の直接FKをきっかけとして攻勢を強め、直後の12分にはカウンターを左サイドに展開して最後は谷口海斗がシュート。これは新井章太がはじき出したが、中盤で激しくボールを奪い合う五分の戦いが続いた。
17分、アクシデントによる負傷で矢田がピッチを退くと、船山貴之が投入される。飲水タイム後もジェフのペース。前線からの連動した守備とサイドに追い込んでからの“前で奪う守備”でセカンドボールをことごとく拾い、それをカウンターにつなげてペースを握った。ジェフは主に右サイドの福満を起点とする攻撃に活路を見出し、33分には見木の強烈なミドルシュート、40分には船山の直接FKがクロスバーを叩くなどいくつかの好機を作った。しかし、新潟の守備も堅く、ペナルティーエリア内にはなかなが進入させてもらえなかった。
迎えた後半、新潟はポジショニングの変更によってビルドアップの修正を図ったが、ジェフは前線からの守備の勢いを弱めることなく、プレッシャーをかけ続けた。
61分にはこの試合最初の大きなピンチを迎えたが、相手のミスによってこれを回避すると反撃。71分には見事なパスワークからチャンスを作り、76分にはセットプレーから相手ゴールに迫った。
尹監督のプランどおり、78分には櫻川に代えてサウダーニャ、福満に代えて安田理大を投入。特にカウンターからいくつかのチャンスを作り、激しい雨が降る中で1点を奪う姿勢を見せた。しかし、最後までゴールを奪うことはできずスコアレスドローのまま決着。前線からの守備とサイドチェンジを多用するビルドアップに大きな手応えを得た90分間だったが、勝点3を奪うことはできなかった。
尹監督が振り返る。
「久しぶりのホームゲームでしたが、満足できる結果ではありませんでした。ただ、前節の反省を踏まえれば、とても活発で躍動感のある前線からの守備ができたと思いますし、それを90分通じてできるところを選手たちがしっかりと見せてくれたと思います。いい試合をしたからこそ、得点につながらなかったことが残念です」
スタメン起用に応えて好パフォーマンスを見せた櫻川は、今後のキーマンの1人になりそうだ。本人が言う。
「チーム全体で気持ちが見えるプレーができていたと思っていますし、自分としても前から献身的な守備をして、それを見せた上でチーム全体が自分についてくるような形で連動した守備ができればと思っていました。その部分は良かったと思います」
上位陣との対戦が続く8月。次節は敵地でのヴァンフォーレ甲府戦に挑む。