敗戦を覚悟した後半アディショナルタイム、「諦めない姿勢」が最後にゴールを呼び込み、何とか勝点1を確保した。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと田口泰士が構え、右のワイドに福満隆貴、左のワイドに末吉 塁が位置。2列目は矢田 旭と見木友哉が並び、1トップには櫻川ソロモンが入った。
立ち上がり15分間の主導権を握ったのはジェフだった。
まずは3分。相手のゴールキックをインターセプトした福満が縦につなぎ、ドリブルで対面する選手を剥がした矢田がクロス。ニアサイドに飛び込んだ櫻川がわずかに左に外れるヘディングシュートを放った。さらにその直後にもインターセプトからパスをつないで田口がミドルシュート。前線からの積極的なプレスで相手の選択肢を限定し、セカンドボールを拾ってサイドに展開する姿勢は前節に続いてはっきりと見られた。
しかし13分、ジェフの左サイドからパスをつながれると、最も警戒している泉澤仁にシュートを打たれる。15分を過ぎると次第に甲府に主導権を握られ始め、18分にはカウンターからピンチを招いて決定機を作られた。このプレーで流れが一気に変わると、20分、21分と立て続けにクロスを放り込まれて押し込まれる。イヤな流れで迎えた26分、自陣ペナルティーエリア内のファウルで相手にPKを与え、先制点を献上した。
尹 晶煥監督が振り返る。
「早い時間帯に失点してしまい、難しい試合の始まりになってしまいました。最初から主導権を握って相手を崩せた部分もあったのですが、あの失点で難しい試合になってしまったと思います」
それでも、前半30分過ぎから再び最終ラインを押し上げてリズムを引き寄せると、後半は立ち上がりからジェフの攻勢が続いた。立ち上がりの47分には矢田がチャンスを作り、51分には末吉の突破から田口がミドルシュート。さらに52分にはチャンのロングフィードで裏に抜け出した福満が決定機を迎えたが、シュートは相手GKのファインセーブに阻まれた。
一時は選手交代によって変化を加えた甲府に流れが傾きかけたものの、終盤に入ると再びジェフが攻勢を強める。71分には矢田に代えてサウダーニャ、末吉に代えて安田理大を投入。縦への推進力と積極的なアーリークロスに活路を見いだそうとした。81分には相手のカウンターから大きなピンチを招いたが、ここは新井章太のビッグセーブで失点を免れた。尹監督は83分に見木に代えて船山貴之を投入し、勝負に出た。
そして迎えたアディショナルタイム、連続した2本目のCKからチャンが豪快なヘディングシュートを放ち、これがゴールに吸い込まれて同点。その直後もいくつかの決定機を作り逆転の可能性も見えたが、試合はそのままドローで決着した。
この日も右サイドで躍動した福満が振り返る。
「前半は相手に押し込まれる時間帯があって、その流れの中からPKで失点してしまって。そこはしっかり修正しなければいけないと思います。ただ、それ以降は自分たちがボールを持ちながらチャンスを作れていたと思うので、それを決めきれていればと感じています」
前節に続き、大きな手応えを覚える内容だった。あとは結果だ。値千金の同点ゴールで奪った勝点1を意味あるものにするため、次節、V・ファーレン長崎とのホームゲームで勝点3を奪いたい。