終始優位に進めながら、試合終盤の一撃に沈んで黒星。チームの勝負弱さを浮き彫りにする90分だった。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ボランチは累積警告による出場停止の田口泰士に代わって小林祐介と熊谷アンドリューが並び、右のワイドに福満隆貴、左のワイドに末吉 塁が位置。2列目には矢田 旭と見木友哉、1トップには櫻川ソロモンが入った。
60%以上のボール支配率で相手を圧倒しながら、前半はあと1歩ゴールに届かなかった。
システム的なミラーゲームは互いが様子をうかがう形で静かな立ち上がりを見せたが、7分、最初のシュートは相模原に生まれる。ジェフの右サイドからクロスを入れられると、最終ラインの背後に抜けた平松宗がワントラップからボレーシュート。形としては大きなピンチだったが、ここは新井章太が冷静にキャッチして失点を免れた。
10分を過ぎると急な大雨に見舞われたものの、ここから一方的にジェフがボールの主導権を握った。16分には左サイドから攻撃を仕掛け、末吉のクロスに飛び込んだ矢田が見事なトラップからシュート。20分には鈴木のクロスから矢田がヘディングシュートを放つと、34分には矢田のCKに鈴木が頭で合わせて惜しいシーンを作った。39分には見木がミドルシュートを放ち、42分には矢田のクロスから櫻川がヘディングシュート。アディショナルタイムに入ると3本連続のCKから最後は新井一耀がヘディングシュートを放ったが、これもゴールネットを揺らさなかった。
尹晶煥監督は「イメージどおりだった」と前半を振り返ったが、後半はその流れを維持できなかったと話した。
「ペナルティーエリア付近のコンビネーションプレーであったり、シュートまで持ち込むシーンを作ることもできました。後半は雨が降ることで少し集中力が落ちてしまったところがあって、プレーしようと努力したのですが、相手の一発のチャンスでやられることになってしまいました」
選手交代の先手を打ったのは相模原だった。55分、63分と立て続けに3選手を交代し、これによって少しずつビルドアップの“形”を作り始めた。もっとも、それによってジェフが劣勢に回ることはなく、尹監督もさらに攻勢を強めるためにサウダーニャと船山貴之を投入。飲水タイム明けにはセットプレーからチャンスを作り、ゴールまで“あと一歩”の状態が続いた。
そして迎えた終盤の86分、しかし先にゴールネットを揺らしたのは相模原だった。警戒していたCKからDF木村誠二にヘディングシュートを決められると、終盤の猛攻も実らずタイムアップ。圧倒的なボール支配率で試合を優位に進めながら、一瞬の隙を突かれた失点によって勝点を奪うことはできなかった。
キャプテンの鈴木が振り返る。
「自分たちがコントロールする時間が長い中で、ミラーゲームだったこともあり、セカンドボールを回収して、自分たちがボールを持つ時間を長くするという狙いは達成できたと思います。でも、なかなか流れの中で得点することができず、相手にセットプレーで決められるという、やっぱり、サッカーってこういうものだなと痛感しました。相模原の集中力が自分たちを上回った。それを認めざるを得ない試合でした」
前節の長崎戦で手にした充実感を考えれば、何としても勝点3を奪って勢いを加速させたいゲームだった。それを達成できない“弱さ”を克服しなければ、上は見えてこない。次節はホームゲーム。首位に立つジュビロ磐田を迎える。