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2021 SEASON MATCHES試合日程・結果

コンビネーションで奪った決勝ゴール。



チームとしての“新しい形”が見えた90分間だった。

スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと田口泰士が並び、右のワイドに福満隆貴、左のワイドに末吉塁が位置。2列目には矢田 旭と見木友哉が入り、1トップに櫻川ソロモンが構えた。

前線からのアグレッシブな守備やセカンドボールへのリアクションの速さによって主導権を握ってきたここ数試合と比較すれば、この試合の前半は明らかにチーム全体の動きが重かった。

理由は2つ。熊谷アンドリューも「全体的に重かった」と話したとおりコンディション的な厳しさがあったことと、相手のビルドアップがジェフのプレスを分散する形をとったことだ。高い位置を取る相手の両ワイドに対してジェフの両ワイドもポジションを下げたため、前線からコースを限定し、追い込んで数的優位を作る守備をすることはできなかった。

従ってゲーム展開としては相手を見合う時間が長く、動きの少ない展開となったが、ジェフの守備は終始安定していた。田口が言う。

「ここ数試合とずっとそうなんですが、5~10分以内には相手がどういうふうにボールを動かしてくるかをしっかり把握して、その中で自分たちがどういう守備をするべきなのかを判断できるようになってきている。それが一番の強みだと思っています」

結果的に“構えてシンプルに”を意識したジェフは、最前線に張る櫻川ソロモンへのロングボールを増やし、そこを起点とする攻撃を徹底した。熊谷が振り返る。

「もう少しつなぎたいという気持ちはありましたけれど、つなげなかった時に自分たちでどういう試合運びをするかというところで。ソロモンがいる分、前に簡単につければチャンスにはなるので、ソロモンは頑張って身体を張ってプレーしてくれているし、そこを信頼して、ある程度アバウトなボールが増えてしまったかなと思います」

前半は攻撃面で見せ場を作ることはできなかったが、一方で大きなピンチもなかった。後半に入るにあたって、田口はチームメイトにこう伝えたという。

「前半は攻め急いでいるというか、みんなが『やり切らなきゃいけない』と思っていたのか、前に行ったらとにかくクロスを上げてしまうとか、やり切ろうとする気持ちが強すぎたと思います。後半に入るにあたっては『もう少しやり直してもいいんじゃないか』という話をしました」

迎えた58分、ペナルティーエリアの中に入った熊谷アンドリューから見木、さらに田口とつなぎ、田口が鋭い球足のクロスを送り込む。これが相手DFの足にあたってそのままゴールへ。記録はオウンゴールだが、ボランチ2人がペナルティーエリア内に進入することで生まれた見事なコンビネーションだった。

尹 晶煥監督が振り返る。

「オウンゴールでの得点でしたが、ああいう形でのコンビネーションプレーがもっと多く出たらいいなと。それは選手たちがやりながら生まれてくるものだと思いますし、時間はかかると思いますが、続けてやっていくしかありません」

試合後、愛媛の實好礼忠監督や選手たちはジェフの守備に対して「堅かった」と繰り返した。攻守両面で90分を通じてアグレッシブなパフォーマンスを見せることはできなかったが、試合の状況をピッチに立つ選手たちが判断し、それを落とし込んで“今日の戦い方”できっちりと勝利を手に入れた。この勝点3は大きい。

「次がもっと大事」

尹監督がそう言ったとおり、この勝点3をなんとしても次のゲームにつなげたい。次節はザスパクサツ群馬とのアウェイゲームに挑む。