ザスパクサツ群馬とのアウェイゲームは、劇的な幕切れを迎えた。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと田口泰士が並び、右のワイドに福満隆貴、左のワイドに末吉塁が位置。2列目に船山貴之と見木友哉が入り、1トップに櫻川ソロモンが構えた。
“環境”に慣れるまでに時間を要したことから、立ち上がりはやや不安定だった。5分には相手にCKを与えるとその流れからヘディングシュートを放たれ、立ち上がりの主導権を掴み損ねる。それでも、飲水タイムを過ぎると少しずつペースを握り始め、28分には右サイドからの船山のクロスを櫻川がヘディング。左サイドに流れたボールを見木がつなぎ、末吉が放り込んだクロスに合わせて再び櫻川がヘディングシュートを放った。
さらに、直後の30分には右サイドで起点を作って中央にパス。これを受けた田口が縦パスを入れると、見木が巧みな反転から惜しいシュートを放ってCKを獲得した。すると、そのCKのこぼれ球をつないで福満がクロス。これも櫻川の頭に合ったが惜しくもゴールには至らなかった。前半終了間際にはいくつかのピンチを招いたものの、スコアは0-0のまま後半へ突入。尹 晶煥監督は末吉に代えて安田理大を投入した。
この交代は見事に当たった。左サイドに積極的にボールを運んだジェフは、安田の緩急あるクロスとサイド突破からいくつものチャンスを創出。立ち上がりから相手を押し込み、一気に攻勢を強めた。
すると52分、櫻川のポストプレーから見木がつなぎ、ペナルティーエリア内に飛び込んだ福満がシュート。決定的なシーンに見えたが、相手のブロックにあいゴールを奪うことはできなかった。
尹監督が振り返る。
「後半には(福満)隆貴による3人目の動きからのチャンスもありましたが、もし相手がユニフォームを掴んでいたとしても決め切る力は必要です。やはり、得点を取るというのは、そういう本能的な力を発揮しなければならないと思います」
その後もチャンスを作り続けたジェフは、58分に福満がシュート、60分に安田のクロス、61分に田口のシュートと立て続けに相手ゴールに迫った。68分には前半から積極的なランニングで相手の裏を狙っていた船山に代えてサウダーニャを投入。78分には鈴木のロングフィードから決定機を作り、85分には疲れの色が見え始めた櫻川に代えて高橋壱晟を投入した。
すると直後の86分。セットプレーのこぼれ球をつないで福満が鋭いクロスを入れると、相手の小さなクリアが高橋の前にこぼれる。これを迷わず振り抜いた高橋のシュートは、ゴール前の密集をすり抜けるようにしてゴールへ。ついに生まれた待望の先制点がそのまま決勝ゴールとなり、この1点を最後まで守り抜いたジェフが勝点3を手に入れた。
得点シーンを演出した福満が振り返る。
「セカンドボールがこぼれてきた時に、うまくGKとDFの間にクロスを上げれば何か起きるかなと思ってクロスを入れました。こぼれ球がうまく自分たちのほうにきてくれたし、(高橋)壱晟が思い切って足を振ってくれました」
途中出場1分後に決勝ゴールを奪った高橋はこう振り返った。
「セカンドボールを拾って、クロスを上げる時に中に入ろうかなとも思ったんですけれど、ちょっと人が多いなと。こぼれ球を狙うポジションを取ったことが良かったと思います」
今シーズン2度目の連勝が持つ意味について、指揮官は話した。
「連勝はチームの雰囲気に大きな影響を及ぼします。次の準備をしっかりいい雰囲気でできることが連勝のポジティブな要素であると思います」
次節の相手は松本山雅FC。キャプテンの鈴木大輔は累積警告によって出場停止となるが、チーム一丸となって戦い、この連勝を伸ばしたい。