ゴールが遠い「勝点1」。

試合展開を考えれば、悔やまれるスコアレスドローだった。

スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、高橋壱晟の3人。ダブルボランチに熊谷アンドリューと田口泰士が並び、右のワイドに福満隆貴、左のワイドに末吉塁が位置。2列目に船山貴之と見木友哉が入り、1トップに櫻川ソロモンが構えた。

立ち上がりのジェフの攻勢は、4分のCK獲得を機に加速する。櫻川のヘディングシュートはゴール上に外れたものの、8分には田口が強烈なミドルシュートを放ち、14分には櫻川のポストプレーから再び田口がシュート。そのコース上に飛び込んだ船山が足を出したがミートしなかった。さらに16分にはFKのこぼれ球をつないで最後は高橋が強烈なミドルシュート。19分には再びFKのこぼれ球からチャンが縦に仕掛けてクロス。見木のシュートは惜しくも相手のブロックに阻まれた。21分には左サイドでボールを持った末吉が球足の鋭いクロスを放り込み、走り込んだ櫻川のポストプレーから船山がシュート。この15分間は、ジェフが相手を押し込んでいくつものチャンスを作った。

飲水タイムを挟んで試合はやや落ち着き、一時は松本が攻勢を強める時間帯もあった。それでもジェフの守備陣は安定感を保ち、相手に決定機を作らせることなくカウンターを狙う。しかし37分、松本のFKからゴール前にクロスが放り込まれると、これをクリアしようとした高橋が相手選手と激突。脳震とうの疑いによる交代となり、岡野 洵がピッチに入った。試合はスコアレスのまま後半に突入した。

迎えた後半も、ジェフが主導権を握り続けた。

62分には右サイドからのクロスが左に流れるが、それを見木、末吉がつないでクロス。飛び込んだ船山がヘディングシュートを狙った。68分には福満のCKをチャンがボレーシュート。尹 晶煥監督は65分に船山に代えてサウダーニャ、末吉に代えて安田理大を投入して勢いを持続させ、特に後半は相手を押し込み続けることで数多くのCK、FKを獲得した。

試合はジェフが圧倒的な攻勢を保ったまま終盤に突入する。82分には右サイドのロングスローから田口がミドルシュート。このプレーで獲得したCKから櫻川が決定的なヘディングシュートを放ったが、これも相手GKの正面に飛びゴールを割ることはできなかった。直後のCKでもゴール前の混戦から見木が放ったシュートがポストを叩くなど、相手ゴール前で何度も訪れた“あと一歩”のシーンを決め切ることができなかった。

尹監督が振り返る。

「試合序盤から主導権を握って、よくやってくれたと思います。前半は多くのシュートチャンスがあったので、得点につながらなかったことは残念です。後半はチャンスというチャンスはそこまで多くなかったのですが、相手のストロングであるカウンター攻撃やロングボールの管理をしっかりしながら攻撃の主導権を握って戦いました。しかし、やはり得点につながらなかったところは今日の試合で最も残念なところです」

ただし、内容面の“前進”についても改めて強調した。

「選手たちは多くの部分で成長していると思いますし、攻守両面で高い意識を持ってくれています。決定力を高めなければなりません。結果を手に入れることができず残念ですが、誰がピッチに入っても変わらない試合内容ができていることはいい状態にあると言えると思います」

1点が遠く、今シーズン初の3連勝を成し遂げることはできなかった。しかしポジティブな要素も確実にある。1つでも上の順位でシーズンを終えるために、戦いを通じて勝ち切る力を備えたい。