劇的決勝ゴールで勝利！

内容に対する手応えを、結果に変える勝負強さが身についてきた。

スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。中盤の底に熊谷アンドリューと田口泰士が構え、右のワイドに福満隆貴、左のワイドに末吉 塁が位置。2列目に船山貴之と見木友哉が並び、1トップに櫻川ソロモンが入った。

理想的な前半だった。最終ラインから細かくパスをつないでビルドアップする相手に対し、ジェフは高い位置からプレスを仕掛けて相手を押し込んだ。4分、そうして獲得したCKを船山がニアサイドに入れると、飛び込んだ鈴木がうまく合わせて先制点を奪った。

「ニアのスペースに飛び込もうとはしていました。周りの選手がうまく道を作ってくれたので、思い切って飛び込んだところに落ちてくるボールを入れてもらえたので。左足でうまく流せて良かったと思います」

その後もジェフの攻勢は続く。10分には熊谷から見木につないでラストパス。櫻川の足はわずかに届かなかったものの、テンポのいいパスワークで相手ゴールに迫った。14分と20分にはカウンターからフィニッシュに持ち込み、25分にはポストプレーから前を向いた櫻川がミドルシュート。30分には再び櫻川のポストプレーからカウンターを発動し、船山、福満とつないで新井一耀がクロスを放り込んだ。見木のダイビングヘッドはわずかに届かなかったが、相手ボールを奪ってからの効果的かつ迫力ある見事な攻撃だった。

37分には相手のセットプレーから大きなピンチを招いたものの、GK新井章太の好プレーで失点を免れた。この日絶好調だった新井章太は、後半も再三にわたるビッグセーブでチームを救った。

主導権を握り続け理想的な前半から一転、後半は45分間の大部分で大宮が主導権を握った。鈴木が振り返る。

「後半は少し、相手のボランチの立ち位置が変わってきたことによって中盤で引っ掛けることができず、ズルズルと相手の攻撃を受ける時間が長かったと思います」

前半は前線からのプレスによって相手を押し込んだジェフだったが、後半は大宮のボランチが最終ラインに下がってビルドアップに加わったため、立ち上がりからその対応に戸惑い、守備面で後手を踏んだ。また、右サイドバックの馬渡和彰が高い位置を取り、積極的にジェフの背後を狙わせて押し込んできた。

後半開始直後の49分に同点ゴールを奪われたジェフは、その後も大宮の変化にうまく対応することができず、ズルズルと後退して守勢を強いられた。尹 晶煥監督は60分に船山に代えてサウダーニャ、末吉に代えて安田理大を投入し、状況の打開を図った。

「ミチ（安田理大）は試合を安定させる力を持った選手です。相手の右サイドバック（馬渡和彰）が攻撃的に出てくるので、その対応についての話をして送り出しました。前線の攻撃陣とのコンビネーションプレーが合わなかったと思うのですが、守備についてはある程度対応できたと思っています」

押し込まれながらも粘り強く跳ね返し続ける展開が続いた試合は、1-1のまま終盤へ突入。時間の経過とともに勢いを増す大宮の攻撃に対し、ジェフは我慢を続けてチャンスをうかがった。

そして迎えたアディショナルタイム、ルーズボールにうまく反応した熊谷が、飛び出した相手DFの背後を狙う見事なスルーパスを送る。これを受けた見木がハーフウェーラインから独走。GKとの1対1を見事に制し、勝負を決定づける決勝ゴールを奪った。

見木が振り返る。

「抜け出した瞬間にヨネさん（米倉恒貴）も走っていることがわかったので、最後はGKに対して2対1の状況を作ってヨネさんにパスを出そうと思っていました。でも、自分の左側から相手が追いかけてきているのがわかったので、自分が右側に逃げながらGKとの1対1で決められると思いました。だから、途中からヨネさんにパスを出す選択肢はなくなった感じでした」

無失点記録は「4」で途絶えたが、劇的な勝利が持つ意味は大きい。尹監督が言う。

「最後まですべての選手がよく集中していたからこそ、失点を防ぐことができたし、ああいうゴールにつながったと思います。この時期は選手たちが集中しづらい時期でもあるのですが、我々の選手たちは1試合1試合最善を尽くしていると思います」

5戦無敗。特大の手応えを持って、次節は敵地での東京ヴェルディ戦に臨む。