終盤に流れを失い、悔やまれるドロー決着

終始ボールの主導権を握り、多くのチャンスを作り、一時は逆転に成功して大きな手応えを感じるゲームだった。しかし何より求めなければならない結果は、2-2のドロー。前節と同じ結末に、選手たちは悔しそうな表情を浮かべた。

スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチには田口泰士と、欠場の熊谷アンドリューに代わって高橋壱晟が入り、右のワイドに福満隆貴、左のワイドに末吉塁が位置。2列目に船山貴之と見木友哉が並び、1トップに櫻川ソロモンが入った。

キックオフ直後こそ両チームのミスによってボールが落ち着かなかったものの、主導権はすぐにジェフに流れる。まずは7分、田口のクロスに船山が飛び込みCKを獲得すると、こぼれ球を拾った末吉が積極的なミドルシュートをゴールの枠に飛ばした。直後には高橋がミドルシュートを放ち、12分には左サイドから攻撃を組み立てて鈴木がクロス。船山がシュートを放って惜しい場面を作った。

この時間帯はセカンドボールに対するジェフのリアクションが速く、アグレッシブな攻撃姿勢で相手を押し込んだ。16分にはCKから福満がダイレクトボレー。22分にはセットプレーの流れから相手を左右に揺さぶり、最後はチャンがボレーシュートを放った。

攻勢が続く中で迎えた28分、ところがジェフは先制点を奪われる。左右に大きく揺さぶられてクロスを放り込まれると、ファーサイドで待ち構えた琉球の清武功暉の鮮やかなボレーシュートで失点を許した。

それでも、後半立ち上がりに逆転ゴールを奪うまでの流れは理想的だった。40分に左サイドを突破した末吉のクロスに福満が合わせて同点とすると、後半開始直後の47分には高い位置でボールを奪ってカウンターを発動し、右から櫻川、左から末吉のクロスを最後は走り込んだ高橋が決めた。勢いを取り戻したジェフは、57分にもカウンターから決定機を作り、63分には船山のクロスから見木がヘディングシュート。67分には櫻川のポストプレーからチャンスを作り、高橋のシュートがポストに弾かれると末吉が反応してゴールを狙った。しかし、いずれもゴールには至らず、飲水タイムと相手の選手交代によって試合の流れが一気に変わった。

75分、警戒していた琉球の左サイドバック、沼田圭悟にクロスを放り込まれると風間宏矢にヘディングシュートを打たれる。さらに直後の76分、再びジェフの右サイドからクロスを入れられ、最後は金井貢史に押し込まれて失点。リードを守り抜くことができず、試合はそのまま2-2でタイムアップとなった。

尹晶煥監督が振り返る。

「前節に続いて残念な結果になってしまいました。前半に失点して、前半のうちに同点、後半入ってすぐに逆転という流れを作ることができましたし、流れは悪くなかったと思います。チャンスを作れなかったわけではないので、やはり決め切る時にしっかり決めなければならないと感じるゲームだったと思います」

田口も結果を悔やんだ。

「リードした時にチーム全員がどういうプレーをしなければいけないのか。その意識が足りないと思うし、今の自分たちの弱さであるとも言えると思います。本当に上を目指すなら、一人ひとりがどういう試合運びをしなければいけないのか、どういうプレーをしなければいけないのかをもっと突き詰めていかなければいけないと思います。90分を通して勝ち切るチャンスが大いにあった試合だったと思うので残念です」

内容には間違いなく上積みを感じる。無敗記録は「10」に伸びた。しかし前節の水戸ホーリーホック戦で露呈した試合運びの課題については、この試合でも解決策を示すことができなかった。ラスト3試合。“あと1段階”のレベルアップを感じる手応えがほしい。