まさに「理想的」と言える勝利で、無敗記録を「11」に伸ばした。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチには田口泰士と高橋壱晟が入り、右のワイドに福満隆貴、左のワイドに末吉塁が位置。2列目に船山貴之と見木友哉が並び、1トップに櫻川ソロモンが入った。
J2残留が懸かったギラヴァンツ北九州は、立ち上がりから積極的なプレスを仕掛けるアグレッシブな姿勢を見せた。立ち上がりはその勢いを受ける形でやや押し込まれた印象だったが、12分の新垣貴之のドリブルシュートを新井章太が正面で抑えると徐々にジェフがペースを握り始める。
直後の13分には左サイドの末吉がクロスを送り、櫻川がヘディングシュート。21分には田口の縦パスからチャンスを拡大し、最後は新井一耀が惜しいミドルシュートを放った。さらに26分には見木がドリブル突破からスルーパスを送ると、相手最終ラインの背後に抜けた櫻川が右足でシュート。しかしこれはゴール左ポストに弾かれた。ジェフは35分にもCKの流れから決定機を作り、立て続けに相手ゴールに迫った。
小林伸二監督率いる北九州は、短いパスを多くつなぐビルドアップに定評のあるチームだ。ジェフはこの試合でも「前から行く時と行かない時」を実践したが、相手の最終ラインからのビルドアップにプレスを外されるシーンもいくつかあった。しかし結果的には、そうした流れから決定機を作らせなかったことが大きかった。いずれも2失点を喫した前節と前々節から修正は、うまく表現できたゲームだった。
迎えた後半は、立ち上がりに試合が動く。54分、右サイドでボールを持った田口が斜め方向にグラウンダーのパスを入れると、見木が縦につないで櫻川が相手を抑えながらポストワーク。それを受けた見木がフェイントで相手を外してシュートを放ち、ゴール左隅に先制弾をねじ込んだ。
勢いに乗ったジェフは直後の57分、59分と立て続けにシュートチャンスを演出。70分にはカウンターのチャンスから右サイドに展開し、福満がクロスを放り込む。飛び込んだ櫻川が潰れ役となると、その背後で待ち構えた見木が冷静に決めて追加点。まさに理想的なカウンターからジェフが追加点を奪った。
2つのゴールについて見木が振り返る。
「1点目はボールがうまく自分の前にこぼれてきて、相手を外して思い切って振ったことがゴールにつながりました。2点目については、ここ最近はカウンターのシーンが結構あった中で、それがゴールにつながっていなかったので。それをチームとしてうまく表現できたと思いますし、(福満)隆貴くんがいいクロスを上げてくれたので、うまく合わせることができました」
流れを変えようとする北九州は“3人代え”に踏み切るが、この日のジェフは試合をうまくマネジメントして時間を進めた。5分間のアディショナルタイムを含めて押し込まれる時間が続いたものの、最終的には無失点に押さえて勝点3を掴み取った。
新井章太が振り返る。
「チーム全体として「いったんプレーを切ろう」とか、そういう話はしましたし、試合前にも声をかけました。“切る”ことで相手に2次攻撃、3次攻撃をさせないことにつながるので、そういうところをみんなで話し合って、うまく修正できたと思います」
尹監督は言った。
「ピッチに入って最初に思ったことは、本当に多くのサポーターの方々が、たとえ声を出せなくてもすごく大きな声援を送ってくださっているということです。それを感じて、試合が始まる前から『今日は絶対に勝ちたい』と思っていました」
残り2試合。次節は今シーズン最後のホームゲームだ。J1昇格への強い思いを持ってフクアリに乗り込んでくる京都サンガF.C.と、“今のジェフ”で真剣勝負できることが楽しみだ。