2021シーズンのホーム最終戦。この試合もジェフは負けなかった。無敗記録を「12」に伸ばした。そして対峙した京都サンガF.C.は勝点1を獲得し、来シーズンからのJ1昇格を決めた。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。ダブルボランチには田口泰士と小林祐介が入り、右のワイドに福満隆貴、左のワイドに末吉塁が位置。2列目に船山貴之と見木友哉が並び、1トップに櫻川ソロモンが入った。
前半は圧倒的な京都ペースだった。立ち上がりから押し込まれて立て続けにセットプレーを奪われると、6分にはCKから宮吉拓実がボレーシュート。11分にも宮吉にシュートを打たれた。京都は好守の切り替えが速く、ジェフがボールを奪ってもすぐに囲まれて前にボールを運べない。敵陣ペナルティーエリア内に進入できない時間が続いたジェフは、21分、FKのこぼれ球から末吉がシュートを放ってようやく1本攻撃の形を作った。しかし34分、37分と中盤でのボールロストからピンチを招き、再び相手に押し込まれた。
ただ、主導権を握られ、押し込まれ続け、いくつもセットプレーからピンチを招きながらも、決定的なピンチが少なかったことは今のジェフの安定感を物語っていた。尹監督も戦況を冷静に見極めていた。
「前半からあれだけ飛ばせば後半に入って体力的な問題が生じるのは当然だと思いますが、前半は相手のプレッシャーに対して忍耐強く守ることができたと思います。後半は自分たちがチャンスを作れるようになりましたし、相手の強度が落ちたこともあって、自分たちに時間的な余裕が生まれました。強いプレッシャーに対してはそこを打開する力、そして落ち着きが必要であると感じました。」
後半開始と同時に田口泰士に代えて高橋壱晟を投入。勝負の姿勢を見せた後半は立ち上がりこそ前半と同様のプレスに苦しんだものの、54分に見木がロングシュートを放つと徐々にジェフに流れが傾き始めた。65分には船山に代えてサウダーニャ、福満に代えて安田理大、末吉に代えて小田逸稀を投入。掴みかけた流れを加速させるべく3枚替えに踏み切った。
それからの時間帯はジェフの攻勢が続いた。69分にはカウンターからチャンスを作り、70分には再びカウンターから右サイドに展開。安田のクロスに櫻川が飛び込んでヘディングで合わせた。逆に74分にはカウンターからピンチを招くが、ピーター ウタカのシュートは新井章太がビッグセーブ。少しずつオープンになってきたゲーム展開の中で、両者が交互にチャンスを作った。
80分にはCKから櫻川が決定的なヘディングシュートを放つが京都のGK清水圭介がビッグセーブ。ラスト10分間も緊張感のある攻防が続き、ジェフはアディショナルタイムの7分間も含めて最後までアグレッシブな姿勢を見せた。
鈴木大輔が言う。
「自分たちのホームで昇格を決められることは悔しいことではあるので、そこに対してプライドを持って臨んだ試合でした。負けはしなかったけれど悔しい試合でした。負けなかったことをポジティブに捉えたいと思いますし、守備の安定や相手に対して修正するところはできたと思います。」
今節の結果によってJ1昇格を決めた京都の曺 貴裁監督は「今シーズンベストと言っていいくらいの出来」とこの試合を振り返った。差を感じる部分は確かにあったが、それでも無失点で終えた守備の安定感、時間の経過とともにペースを引き寄せる対応力が今のジェフにとって大きな武器であることも再認識できた。
ラスト1試合。アウェイでのファジアーノ岡山戦で勝点3を掴み取り、無敗記録を「13」に伸ばして今シーズンを締めくくりたい。