「狙いどおり」の勝利！

敵地で手にした理想的な勝点3だった。

スタメンは3-4-1-2の布陣。GKは新井章太。3バックは右から鈴木大輔、新井一耀、佐々木翔悟の3人。中盤は右サイドに西久保駿介、左サイドに福満隆貴が構え、中央にチャン ミンギュと小島秀仁がダブルボランチとして位置。トップ下に見木友哉が入り、2トップに櫻川ソロモンとブワニカ啓太が並んだ。

「相手のストロングポイントをうまく抑えることができたと思いますし、特に守備面で相手のセンターFWからボランチまで狙いどおりに対応することができました」

試合後に尹 晶煥監督がそう話したとおり、この試合におけるジェフの狙いは前節と同様“対金沢”の守備対応にあった。

高さと強さの豊田陽平、スピードの林誠道が並び立つ2トップに対しては、3人のCBで常に2対1の状況を作って対応する。突破力のある両サイドMFにはウイングバックが対応し、展開力のある藤村慶太と松本大弥のダブルボランチには、こちらもチャンと小島が横に並んで正面から向き合う。この戦術設定がしっかりとハマった前半は、終始ジェフが主導権を握った。

まずは4分。チャンの縦パスを受けた西久保がクロスを入れると、櫻川が強烈なヘディングシュート。10分には左サイドからカットインした見木がシュートを放ち、相手に当たったボールにブワニカが反応してヘディングシュートを放った。そうしていい流れを作ったジェフは、直後の11分に先制点を奪う。

11分、右サイドで縦パスを受けたブワニカがタッチライン際に開いた櫻川に縦パス。低い弾道のクロスに合わせて飛び込んだ見木が冷静に押し込み、キックオフ直後からの理想的な流れの中でジェフが先制点を奪った。

見木が振り返る。

「ソロ（櫻川）がうまく抜け出して、クロスが上がるタイミングで相手の前にうまく入ることができたことがポイントだったと思います。相手の足が止まっていたのでフリーだったし、ソロがいいボールを上げてくれたと思います」

その後は冷静なパスワークで相手を揺さぶりながらチャンスをうかがい、時折鋭い縦パスを入れてゴールに迫った。追加点を奪うことはできなかったものの、守備面でも狙いどおりの展開となった前半はパーフェクトだった。

しかし、風下に立った後半はこの流れが大きく変わった。

同点ゴールを狙って攻勢を強めた金沢に対し、ジェフは受け身に回って自陣に押し込まれる時間が続いた。53分には左右に大きく揺さぶられ、最後は豊田にヘディングシュートを打たれた。直後の56分にはパスワークのミスから決定的なピンチを招いたものの、新井章太のビッグセーブでなんとか失点を回避した。

新井章太が振り返る。

「後半が始まる前に、選手同士で後半は相手が得点を狙ってくること、押し込まれる時間が多くなること、クロスボールが増えて相手がゴールに向かってくることが多くなると話しました。前節の山形戦で最後まで守りきったことの自信がこの試合に活きたと思います」

守備のエネルギーを維持するため、尹監督は積極的な采配に踏み切った。67分、小島に代えて田口泰士、ブワニカに代えて篠原友哉、西久保に代えて矢口駿太郎を投入。それでもサイドからの攻略を狙う相手の勢いは止まらなかったが、我慢の時間を重ねてジワジワと相手を追い込み、いくつかのピンチをしのいで試合は終盤に突入した。

82分には櫻川に代わって出場した佐久間太一がプロデビュー。アディショナルタイムには見木に代えて風間宏矢を投入し、逃げ切りを図った。約5分間のアディショナルタイムを切り抜け、ジェフは1-0で勝点3を手にした。

新井章太が言う。

「先週から難しい状況の中で日々を過ごしてきて、いい練習をしながら準備する中で、ケガ人も多く出てしまっていることからこのメンバーで戦わなければならないという現状があって。なかなか苦しいけれど、いろいろな選手が身体を張って、頑張って掴み取った勝利なので、その安堵感や喜びを分かち合えたことは良かったと思います。次節も続けたい」

チーム一丸となって、全員で手にした勝点3だ。昨シーズン途中から少しずつ積み上げてきた自信が、また再び大きくなりつつある。