試合終了間際の劇的ゴールで勝利！

後半のアディショナルタイムが5分台に突入した最後のCK。ニアサイドに飛び込んでヘディングで合わせたのは、試合を通じて守備面での貢献が光っていたキャプテンの鈴木大輔だった。我慢に我慢を重ねて奪った決勝点。ジェフにとっての今季ホーム初勝利は、あまりにも劇的な形で迎えることになった。

スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。中盤は右サイドに福満隆貴、左サイドに秋山陽介が入り、中央に熊谷アンドリューと田口泰士が位置。2列目に風間宏矢と見木友哉が並び、1トップに櫻川ソロモンが入った。

前半は戦前の予想どおりの展開となった。

最終ラインから短いパスをテンポよくつなぎ、ジェフの守備組織の中間ポジションに飛び込んでボールを動かす新潟に対し、ジェフは5-2-3の守備体系を維持しながらカウンターを狙った。6分、7分、11分、15分と立て続けにCKを奪われて守勢に回ったが、我慢強く跳ね返しながらいくつかのチャンスを作った。9分には右サイドから福満の鋭いクロスから櫻川がヘディングシュート。13分には同じく右サイドでパスをつないで相手を崩し、17分にはロングフィードのセカンドボールを拾った見木がミドルシュートを放った。

新潟はボールを動かしてジェフの守備網を崩そうとするチャレンジを続けるが、ジェフはボールこそ奪取できないものの決定機を作らせなかった。26分には中盤でボールを奪うと見木が左サイドに展開し、秋山が鋭い突破からクロス。櫻川の足はわずかに届かなかったが、「あと一歩」の場面を作った。30分以降は“にらみ合い”が続き、スコアレスのまま前半を終えた。

熊谷アンドリューが言う。

「前半は（櫻川）ソロモンが1人で相手のセンターバックとボランチを見るような状況で、かなりキツかったと思います。ただ、自分と泰士くんが前に出てしまうと、その背後を本間至恩選手や高木善朗選手に使われてしまうと感じていたので、なかなか前に行きづらいと思っていました。ハーフタイムに（鈴木）大輔さん中心にみんなで話して、見木（友哉）と（風間）宏矢が相手のセンターバックに対応するような守備に変えました。それが少しずつうまくいってプレスがハマるようになったと思います」

後半はジェフが押し込む時間が増え、互いに“あと一歩”のチャンスを作る一進一退の攻防が続いた。

立ち上がりはジェフ。48分に高い位置でボールを奪うと風間から櫻川へラストパス。シュートは右に外れたがこのチャンスで流れを引き寄せると、直後の49分には田口のミドルシュートからCKを獲得するなど連続攻撃で相手を押し込んだ。

ベンチの動きも早かった。

60分には秋山に代えて末吉 塁、風間に代えて高木俊幸を投入。63分にはカウンターからチャンスを作って高木が右サイドを突破し、鋭いクロスを入れると飛び込んだ櫻川がヘディングシュート。直後の65分には左サイドでトップスピードに乗った末吉が相手のファウルを誘って存在感を示した。前半と同様、細かいパスワークから新潟の侵入を許す場面もいくつかあったが、組織的な守備を貫いて決定機を作らせないまま試合を運び、67分には再び2枚替え。櫻川に代えてサウダーニャ、福満に代えて米倉恒貴を投入し、さらに攻撃を活性化させた。

すると、67分にはCKのこぼれ球を末吉がシュート。72分には末吉のクロスからサウダーニャがシュートを放つなど2度の決定機を作った。70分を過ぎると両者ともさらに前掛かりとなり、終盤はゴール前のシーンが増えて緊張感が高まっていった。そうした状況下で迎えたアディショナルタイム、左CKを獲得したジェフは田口がニアサイドに蹴り込み、そこに飛び込んだ鈴木大輔がヘディングで合わせてついに待望の先制点を奪った。

尹 晶煥監督が試合を振り返る。

「最後の最後にセットプレーから得点できたことはチームとして大きな力になると思います。今日の勝利でチームの雰囲気も変わるはずです。もちろん次節もこういう試合を続けなければ今日の勝利の意味がなくなってしまいますし、選手たちにもそう伝えました。中3日で試合があるので、ここが我々の勝負どころだと思っています。今日の試合に関しては、選手たちがよく集中してベストを尽くしてくれました」

3試合ぶりの白星、そして今シーズンのホーム初勝利は劇的な形で訪れた。この勢いを生かさない手はない。