白熱の好ゲームは痛み分けのドロー。

悔しさと充実感を同時に味わう「勝点1」だった。

スタメンは3-4-2-1の布陣。顔ぶれは前節と同じ。GKは新井章太。3バックは右から新井一耀、チャン ミンギュ、鈴木大輔の3人。中盤は右サイドに福満隆貴、左サイドに秋山陽介が入り、中央に熊谷アンドリューと田口泰士が位置。2列目に風間宏矢と見木友哉が並び、1トップに櫻川ソロモンが入った。

キックオフ直後はジェフ、5分過ぎから町田が主導権を握る一進一退の攻防が繰り広げられたが、最初のビッグチャンスを作ったのはジェフだった。

11分、ビルドアップの局面で右サイドで人数をかけてボールを動かすと、見事なパスワークで相手の守備網を突破して風間がグラウンダーのクロス。飛び込んだ櫻川がうまく合わせてシュートを放ったが、これは相手GKの好守に阻まれゴールを奪うことはできなかった。ジェフはこのシーンをきっかけとしてリズムを掴むと、17分には左サイドから見木が鋭いクロス。風間が飛び込んで惜しい場面を作った。

左サイドを崩された20分のピンチを新井章太がビッグセーブで防ぐと、23分にはペナルティーエリアすぐ外、ゴール正面で与えたFKは身体を張ってブロック。26分には風間のクロスからCKを獲得し、28分には右サイドでパスを何本もつないでクロスを放り込み、ファーサイドで秋山が折り返すと風間がシュートを放った。このシーンは決定機と言えるチャンスだったが、ボールはゴールの上に外れた。攻勢を強めながらもなかなかゴールを奪えない時間が続き、前半はその後訪れたいくつかのピンチをしのいでスコアレスのまま折り返した。

尹 晶煥監督が振り返る。

「前半の立ち上がりから非常にアグレッシブな姿を見せてくれたと思います。特に右サイドでいいプレーが多く見られました。最近の試合では左サイドでいいプレーが多く見られていたと思いますが、今日は右サイドからのいい動き出し、いいチャンスメイクがあったと思います。これは、これからのチームにいい影響をもたらしてくれるかもしれません」

迎えた後半、尹監督は前節に続いて早めの交代策で先手を打った。

まずは58分、風間に代えて高木俊幸、櫻川に代えてサウダーニャを投入すると、その直後に決定機を迎える。中央でパスを受けた見木友哉が右サイドに展開すると福満がクロス。高木の絶妙なコントロールからのシュートはGKの好守に阻まれ、こぼれ球に反応した見木のシュートも相手にブロックされた。

65分、尹監督は秋山に代えて末吉 塁を送り出す。69分には熊谷の見事なスルーパスからまたしても決定機を演出。シュートには至らなかったものの、後半立ち上がりからの攻勢を一気に強めて相手を敵陣に押し込むいい流れを作りつつあった。

ところが、迎えた77分に先制点を献上する。左右に大きく揺さぶられると、最後は途中出場直後の長谷川アーリアジャスールに押し込まれて失点。イヤな時間帯の失点だったが、わずか3分後の80分には田口のCKをチャンがヘディングで押し込んで同点。ラスト10分は両者ともゴールを目指す激しい攻防を繰り広げたが、最後までゴールは生まれず1-1のドローで試合を終えた。

チームを救った同点ゴールについて、チャンが振り返る。

「（田口）泰士が素晴らしいボールを入れてくれました。自分は頭で合わせるだけのゴールだったと思います。狙っていたポイントだったし、（鈴木）大輔や（新井）一耀、それから（福満）隆貴もうまく相手をブロックしてくれました。それがあって、うまく飛び込んでいけたと思います」

アシストした田口は、内容的な充実感を口にしながらも結果を悔やんだ。

「試合の入りから、今日は非常にアグレッシブに自分たちのペースで試合が進んだと思います。ただ、いつも言っているとおり、ゴールを奪えなければ勝てません。チャンスは多く作った90分でしたけれど、それを決め切れないことをチームとして反省しなければならないと思います。1点取れていたらもう少し楽な試合運びができていたので、そういう部分をもっと突き詰めて、みんなで責任を持ってやっていきたいと思います」

結果は残念だが、90分を通じて主導権を握り続け、アグレッシブにゴールを目指し続けた90分だった。この姿勢と手応えをゴールに結びつけて、勝点3を確実に奪う。今のジェフが直面している課題は明確だが、一歩一歩、着実に前に進んでいる。