厚みある攻撃で逆転勝利！

水戸ホーリーホックをホーム・フクアリに迎えた第19節、ジェフは理想的な逆転勝利で今シーズン初となる連勝を成し遂げた。

スタメンは3-4-2-1の布陣。GKは新井章太。3バックは右から鈴木大輔、新井一耀、佐々木翔悟の3人。中盤は右サイドに米倉恒貴、左サイドに福満隆貴が入り、中央に田口泰士と見木友哉が位置。2列目に風間宏矢とブワニカ啓太が並び、1トップにはチアゴ デ レオンソが入った。

序盤のペースを握ったのはジェフだった。まずは2分、田口が積極的なミドルシュートでゴールを狙うと、4分にはその田口から相手最終ラインの背後に抜けた米倉にスルーパス。ここ数試合と同様、サイドに展開すると最終ラインの鈴木大輔、佐々木が前線に絡んで厚みを持たせ、数的優位を作って相手を押し込んだ。

ところが、9分、ジェフの右サイドで相手にFKを与えると、そのままCKへとセットプレーが続き、一瞬、流れが水戸に傾く。12分、その流れを見逃さなかった水戸のMF新里 涼が強烈なミドルシュート。これがゴール左上に突き刺さってジェフは序盤にビハインドを負う展開を強いられた。

尹 晶煥監督が振り返る。

「もちろん、失点のところはもったいなかったと思います。ただ、その後も落ち着いてプレーしてくれたと思いますし、同点、逆転と試合を進めることができました」

流れを引き戻したのは佐々木の縦パスだった。17分、最終ラインから鋭い縦パスを入れると、チアゴが落とし、逆サイドに展開してリズミカルな攻撃を演出した。続いて21分、左サイドを起点とする攻撃からピッチ中央で見木が受けると、前を向いてグラウンダーの縦パス。ポストプレーに入ったチアゴが落としを受けたブワニカが迷わず左足を振り抜いて同点ゴールを決めた。

昨シーズンの開幕戦以来となる自身2得点目だ。ブワニカは感謝の気持ちを並べた。

「ずっとシュート練習に付き合ってくれたコーチのマサさん（大和田真史）だったりサカさん（坂本將貴）だったり（小林）慶行さんだったり、GKの（新井）章太さんだったり（鈴木）椋大さんだったり（松原）颯汰さんだったり、本当にそういう人たちに感謝しないといけないゴールだと思います」

22分には米倉が負傷交代を強いられたが、交代出場の秋山陽介が左に、福満が右に入って対応。30分を過ぎるとジェフが攻勢を強め、31分にはチアゴがゴール左にわずかに外れるミドルシュートを放つと、33分には右サイドの背後を攻略した風間がマイナス方向のクロス。走り込んだ田口のミドルシュートが相手GKを強襲した。

決勝点となる2点目は、そうした流れの中で生まれた理想的なゴールだった。38分、田口の縦パスを起点とした攻撃からチアゴが強烈なミドルシュートを放つと、こぼれ球を拾ってパスをつなぎ、最後は見木が見事なフェイントからGKの逆を突くシュートを決めた。結果的には、厳しい暑さの中で行われたゲームにおいて前半のうちに逆転できたことが大きかった。

後半はリードしているジェフが守勢に回る時間が長かったが、冷静な判断力を維持して最後まで“強度”を維持した。水戸はハーフタイムに1枚、57分に2枚と後半の立ち上がりから次々に交代カードを切ったが、選手たちは終始集中力を保ち、相手の変化にうまく対応して組織を維持し続けた。

尹監督が動いたのは67分。チアゴに代えて櫻川ソロモン、風間に代えてサウダーニャを投入すると、前線のエネルギーを入れ換えてプレスとカウンターの迫力を強化した。75分にはショートカウンターのチャンスから福満がクロスを放り込み、飛び込んだ櫻川がヘディングシュートを放った。83分にはブワニカに代えてチャン ミンギュ、福満に代えて西久保駿介を投入し、試合の“締め”にかかった。

最終盤のヒーローは守護神の新井章太だ。アディショナルタイムには相手の決定機を2本連続でブロックするスーパーセーブで勝点3を引き寄せた。今シーズン初となる連勝は、故障離脱者が相次ぐ中でチーム一丸となって手に入れた結果だった。

尹監督が言う。

「選手たちが集中して戦ってくれましたし、チーム一丸となって勝ち取ったものです。選手たちに感謝したいと思います」

今シーズン初の連勝は、間違いなく、ジェフにとって“いい流れ”が来ていることを意味している。ここまで続けてきた我慢を爆発させて上位争いに絡むためにも、まずは次戦、ツエーゲン金沢と対戦する天皇杯2回戦で勝利を掴みたい。