ゲームコントロールの未熟さが大きく響いた試合だった。
スタメンは3-4-2-1の布陣。GKはプロデビュー戦となる松原颯汰。3バックは右から鈴木大輔、新井一耀、佐々木翔悟の3人。中盤は右サイドに西久保駿介、左サイドに秋山陽介が入り、中央に小林祐介と田口泰士が位置。2列目に風間宏矢と見木友哉が並び、1トップには櫻川ソロモンが入った。
リーグ戦で今シーズン初の連勝を成し遂げたジェフは、この試合でもその勢いを継続して前半から主導権を握った。金沢は5バックシステムによるマンツーマンを選択してきたが、その駆け引きに動じることなく先制点を奪う。
8分、右サイドでボールを受けた風間が鋭いクロスを放り込むと、勢いを持ってボックス内に飛び込んだ櫻川が豪快なヘディングシュート。これがゴール左隅に飛び込んでジェフが先制点を奪った。
ところが、直後にアクシデントが発生した。ピッチに倒れた佐々木は担架に運ばれてそのまま退場。チャン ミンギュが投入され、3バックの右に位置した。その起用法について、尹 晶煥監督はこう説明している。
「これまで基本的には3バックの中央でプレーしてきましたが、チーム状況としてウイングバックの選手が相次いでケガによる離脱を強いられています。それを考慮して、ウイングバックで起用できる可能性を探る意味も込めて今日は3バックの右に置きました」
前半はジェフの時間が続いた。17分には左サイドから秋山がクロス。23分には右サイドを突破した西久保がクロスを放り込み、23分には相手の縦パスをインターセプトした小林がドリブルで持ち運んで強烈なミドルシュートを放った。その後も「構える金沢」と「押し込むジェフ」の構図は続き、セットプレーを多く獲得して相手を押し込んだ。しかし、この“ジェフの時間帯”に追加点を奪うことができなかった。結果的にこれが響いた。
秋山が言う。
「前半の早い時間から点を奪いに行こうとする意識を強く持っていて、実際にうまく取ることができて。追加点を取りに行ったけれど“自分たちの時間”の時に取ることができませんでした。そこが課題だと思います」
前半終了間際に足を痛めた櫻川はハーフタイムにブワニカ啓太と交代。迎えた後半、ロングボール主体のスタイルに切り替えてきた金沢に対し、ジェフは時間の経過とともに少しずつ押し込まれる展開となった。60分を過ぎると、ボールの主導権は次第に金沢へと流れていった。
尹監督が振り返る。
「中2日での試合だったのですが、移動がないという意味では相手よりも有利な状況であったことは間違いありません。しかし、今日は体力的に厳しくなってきた時間帯にピッチの上で『何かをやろう』とする姿勢を見せられませんでした」
迎えた78分、2本連続で相手にCKを与えると、その2本目を途中出場の豊田陽平にヘディングで押し込まれた。これで同点。しかし試合の流れは完全に相手へと傾いていた。
迎えたアディショナルタイム、ゴール前の空中戦に競り勝ったのは、またしても金沢の豊田陽平だった。試合終了間際に決勝ゴールを奪われたジェフは、反撃の時間を与えられずタイムアップを迎えた。
この試合がデビュー戦となったGK松原が言う。
「(後半は)ロングシュートを何本か打たれましたけれど、それについては「自分に任せろ」という感じでした。やっぱり、セットプレーの部分で自分がもっと責任感をもってやらないとフィールドの選手たちが安心してチャレンジできないと感じました」
尹監督が言う。
「今日の敗戦から学ぶことはたくさんあります。そこはしっかりと見つめる必要があると思います」
天皇杯は2回戦敗退。3日で迎える週末のホームゲームでは、J2リーグで首位を快走するベガルタ仙台を迎え撃つ。今日の悔しさを、しっかりとぶつけて連勝記録を伸ばしたい。